からごろも たつひはきかじ あさつゆの おきてしゆけば けぬべきものを
唐衣 たつ日は聞かじ 朝露の おきてしゆけば 消ぬべきものを
よみ人知らず
あなたの旅立ちの日は聞かずにおきましょう。朝露の置くその日が来てあなたが行ってしまったら、私は露のように消え去ってしまうでしょうから。
なかなか解釈が難しい歌です。「唐衣」は「裁つ」「着る」などにかかる枕詞で、ここでは「裁つ」と同音の「発つ」にかけています。さらに「おきて」は「置きて」と「起きて」の掛詞。「消ぬ」は「露」の縁語で、朝露の置く朝、その朝露と同じように自分もはかなく消え去ってしまうということ。