漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0380

2020-11-13 19:58:26 | 古今和歌集

しらくもの やへにかさなる をちにても おもはむひとに こころへだつな

白雲の 八重に重なる をちにても 思はむ人に 心へだつな

 

紀貫之

 

 白雲が幾重にも重なるその向こうへと旅立たれても、あなたを思うこの心には、どうか距離をおかないでください。

 「をち」は「彼方」または「遠」で遠隔地の意。こうして読んでくると、やはり「遠く離れ離れになっても心は共に」というのが、古今集においても離別歌のひとつの定番と言えそうですね。また、一読してストレートにその心情が伝わってくるのは貫之歌の特徴の一つでしょうか。称賛の対象ともなり、また「歌に深みがない」といった批判の理由ともなる点かと思いますが、私個人的にはとても好きです。 ^^