漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0371

2020-11-04 19:38:01 | 古今和歌集

をしむから こひしきものを しらくもの たちなむのちは なにここちせむ

惜しむから 恋しきものを 白雲の たちなむのちは なに心地せむ

 

紀貫之

 

 別れを惜しむうちからもう恋しくなるものを、白雲の立つはるか遠くまであなたが旅立ってしまった後には、いったいどんな心地がするのでしょうか。

 詞書には「人のむまのはなむけにてよめる」とあります。「むまのはなむけ」とは 0369 でもご紹介した通り、送別の宴のこと。まだ実際にお別れする前からこれほどの恋しい気持ちになるのに、いざ実際に遠く離れ離れになってしまったら一体どれほどの気持ちにになるのか、と、まさに最大級の惜別の辞ですね。