古今和歌集 0568 2021-05-20 19:40:05 | 古今和歌集 しぬるいのち いきもやすると こころみに たまのをばかり あはむといはなむ 死ぬる命 生きもやすると こころみに 玉の緒ばかり あはむとはいはむ 藤原興風 死んだも同然のこの命が、もしかしたら生き返るかもしれないので、試しにほんの少しだけ逢おうと言ってほしい。 「玉の緒」は玉に通した糸のことで、短く切れやすいことからはかなさの象徴とされます。「死ぬる命」は実際に臨終の床にいるのではなく、恋しさの余り、逢えずにいるのでは死んだも同然との、いささか大げさな表現でしょうか。