わがやどの きくのかきねに おくしもの きえかへりてぞ こひしかりける
わが宿の 菊の垣根に 置く霜の 消えかへりてぞ 恋しかりける
紀友則
わが家の庭の垣根に置く霜が消えていくように、私も身が消えるような思いで恋をしているのだ。
菊に置く霜は、秋から冬へと向かう時期に寒さが増してくることの象徴。それに比肩するほどの心の寒さを詠んでいます。菊に置く霜を詠んだ 0277 の名歌も再度ご紹介しておきましょう。
こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな
心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花
凡河内躬恒