漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0564

2021-05-16 19:52:44 | 古今和歌集

わがやどの きくのかきねに おくしもの きえかへりてぞ こひしかりける

わが宿の 菊の垣根に 置く霜の 消えかへりてぞ 恋しかりける

 

紀友則

 

 わが家の庭の垣根に置く霜が消えていくように、私も身が消えるような思いで恋をしているのだ。

 菊に置く霜は、秋から冬へと向かう時期に寒さが増してくることの象徴。それに比肩するほどの心の寒さを詠んでいます。菊に置く霜を詠んだ 0277 の名歌も再度ご紹介しておきましょう。

 

こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな

心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花

 

凡河内躬恒