漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0551

2021-05-03 19:13:56 | 古今和歌集

おくやまの すがのねしのぎ ふるゆきの けぬとかいはむ こひのしげきに

奥山の 菅の根しのぎ 降る雪の 消ぬとかいはむ 恋のしげきに

 

よみ人知らず

 

 奥山の菅の根を押さえつけるように降る雪も消えてしまうように、私も恋心がつのってわが身が消えてしまうとでも言おうか。

 「しのぐ」は押さえつける、押しふせる意で、初句~第三句が次の「消ぬ」を導く序詞になっています。これと非常に良く似た歌が万葉集にありますので、本歌取りということでしょうか。万葉集の方は「菅の根」ではなく「菅の葉」となっていますね。

 

たかやまの すがのはしのぎ ふるゆきの けぬといふべくも こひのしげけく

高山の 菅の葉しのぎ 降る雪の 消ぬと言ふべくも 恋の繁けく

 

三国人足

(万葉集 巻第八 第1655番)

 

 さて、0469 から始まった巻第十一はこれでおしまい。明日からは巻第十二「恋歌二」の歌をご紹介します。どうぞ引き続きおつきあいください。