古今和歌集 0572 2021-05-24 19:28:58 | 古今和歌集 きみこふる なみだしなくは からごろも むねのあたりは いろもえなまし 君恋ふる 涙しなくは 唐衣 胸のあたりは 色燃えなまし 紀貫之 あなたを恋しく思う涙がなかったならば、胸のあたりに恋の炎が燃え上がった色を見てもらえるであろうに。 いとしい人への恋の思いに胸中は燃え上がっているのに、その同じ恋の思いゆえの涙がその炎を消してしまって炎を見てもらえない(=思いが伝わらない)との嘆きの歌です。いささか理屈っぽい気が私にはしましたが、機智の妙ということかもしれません。