古今和歌集 0573 2021-05-25 19:44:08 | 古今和歌集 よとともに ながれてぞゆく なみだがは ふゆもこほらぬ みなわなりけり 世とともに 流れてぞゆく 涙川 冬もこほらぬ みなわなりけり 紀貫之 私の人生とともに流れて行く涙の川は、冬でも凍ることのない水の泡なのであるよ。 「世」はここでは「一生」「生涯」の意。「みなわ」は漢字で書けば「水泡」で文字通り水の泡の意ですが、はかないものの喩えに使われます。恋心ゆえの涙の川は、その流れが激しいがために寒い冬にも凍ることがない、というわけですね。