十月、菊の花
うすくこく いろもみえける きくのはな つゆやこころを わきておくらむ
薄く濃く 色も見えける 菊の花 露や心を わきておくらむ
十月、菊の花
菊の花の色が薄く濃くさまざまに見えるのは、露が心を分け隔てして置くからであろうか。
この歌は後拾遺和歌集(巻第五「秋下」 第353番)に入集していますが、015 と同じく、そちらでは清原元輔作とされています。追ってご紹介する 337 も同様ですね。 そうなっている事情は、015 にも記載した通り「元輔が屏風歌の作例として手元においていた貫之歌を後人が誤って元輔の家集に加え、後拾遺集はそれをそのまま元輔作として採録したとの説が有力で、実際は貫之作と考えられている」ということのようです。