池のほとりに、藤の花松にかかれる
みどりなる まつにかかれる ふぢなれど おのがころとぞ はなはさきける
緑なる 松にかかれる 藤なれど おのが頃とぞ 花は咲きける
池のほとりで、藤の花が松にかかっている
常緑の松にからみついている藤であるのに、今が自分の季節だとばかりに咲き誇っているよ。
視覚的に言うと、松の緑と藤の紫の対比ですね。第三句に「なれど」と逆接が入っているのは、松にからみついてまるで松の庇護の元にあるかのような藤が、自分の季節がやってきたぞと言わんばかりに咲き誇っているというところでしょうか。
この歌は新古今和歌集(巻第二 「春歌下」 第166番)にも入集しています。
044 から始まった「斎院の御屏風の歌」はここまでとなります。