人の家に女の桜の花を見たる
わかやどの ものなりながら さくらばな ちるをはえこそ とどめざりけれ
わが宿の ものなりながら 桜花 散るはえこその とどめざりけれ
人が住む家で、女が桜の花を見ている
自分の家のものであるのに、桜花が散って行くのを、どうしてもとどめることができなかった。
桜が散るのを惜しむ歌は数限りなくありますが、自分のものなのにそれをどうしようもないと嘆くのはあまりない観点でしょうか。
この歌は新古今和歌集(巻第二 「春下」 第108番)にも入集しています。