漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0924

2022-05-11 04:38:07 | 古今和歌集

たがために ひきてさらせる ぬのなれや よをへてみれど とるひともなき

誰がために ひきてさらせる 布なれや 世を経て見れど とる人もなき

 

承均法師

 

 いったい誰のために張ってさらしてある布なのか。長い間見てきているのに、取る人もいない。

 詞書には「吉野の滝を見てよめる」とあります。滝のことを表す「瀑布」という言葉がありますが、この歌も滝を布に見立てていますね。長年無防備(?)に張られたままの布だが誰もそれを取っていく者もいない、という少しひねった表現で、古来変わらぬ美しさを詠んだ歌。ただ、吉野川には有名な滝が多くあり、どの滝であるかは特定できていないようです。

 



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