きみをのみ おもひこしぢの しらやまは いつかはゆきの きゆるときある
君をのみ 思ひこしぢの 白山は いつかは雪の 消ゆる時ある
宗岳大頼
あなたのことだけを思ってやってきた越路の白山は、いつ雪の消える時がありましょうか。
あなたの思いが雪だというなら春には消えてしまいますねという 0978(凡河内躬恒)への返し。「白山」は雪の消えない山と見られていて、その雪が消える時がないように、あなたへの思いも消えることはありませんというわけですね。躬恒が詠んだ 0414 を踏まえての返歌でしょうか。
きえはつる ときしなければ こしぢなる しらやまのなは ゆきにぞありける
消えはつる 時しなければ 越路なる 白山の名は 雪にぞありける