きみがおもひ ゆきとつもらば たのまれず はるよりのちは あらじとおもへば
君が思ひ 雪と積もらば たのまれず 春よりのちは あらじと思へば
凡河内躬恒
あなたの思いが雪のように降り積もるというのなら、あてにはできませんね。春から先には溶けてなくなってしまうと思いますので。
詞書には「宗岳大頼が、越よりまうで来たりける時に、雪の降りけるを見て、おのが思ひはこの雪のごとくなむ積もれる、といひける折によめる」とあります。宗岳大頼(むねをか の おほより)は詳細不明の人物で、自身の歌が 0591 に登場している他、次の 0979 には本歌の返しが採録されています。