漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0456

2021-01-28 19:46:24 | 古今和歌集

なみのおと けさからことに きこゆるは はるのしらべや あらたまるらむ

波の音 けさからことに 聞こゆるは 春のしらべや あらたまるらむ

 

安倍清行

 

 波の音が今朝は違って聞こえるのは、立春を迎えて春の調べにあらたまったからであろうか。

 詞書には「からことといふ所にて、春の立ちける日よめる」とあります。二句目の「けさからことに」のところ、歌意に沿えば「今朝から異に」ですが、ここに地名の「からこと(唐琴)」が詠み込まれています。ここからしばらく、地名を詠み込んだ物名歌が続きます。
 作者の安倍清行(あべの きよゆき/きよつら)は平安時代前期の貴族にして歌人。古今集には本歌と 0556 の二首が入集しています。



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