かぢにあたる なみのしづくを はるなれば いかがさきちる はなとみざらむ
かぢにあたる 波の雫を 春なれば いかが咲き散る 花と見ざらむ
兼覧王
楫に波があたってできるしぶきを春に見れば、どうしてそれが咲き散る花に見えないということがあろうか。
隠し題は「いかがさきちる」に詠み込まれた「いかがさき」。地名ですが、どこのことなのかはわかっていません。
第55代文徳天皇の皇孫である兼覧王(かねみのおほきみ)が4回目の登場。少し先になりますが、0779 では五首目が出てきます。古今集への入集はこの五首となります。