
つくづく贅沢なことだとは思いますが、京橋のブリヂストン美術館は私の職場から歩いて10分ほどのところにあり、かつ平日の夜は(金曜日以外も)8時まで開いているとあって、たまに早く帰れる時にふらっと立ち寄ることがあります。
今はちょうと館蔵の作品を集めた「美術散歩」と題する展覧会が開かれていて、昨日の帰りに寄ってきました。
洋画を中心に約130点、館蔵品だけでこれだけの展覧会をやってしまうところがブリヂストン美術館の凄いところです。展示は印象派の少し前から現代美術に至る過程が俯瞰出来るようになっていて、とても見ごたえのある内容でした。
それでも個人的な好みというものはどうしようもないもので、これまで何度も見たことがあるものに再会して、やっぱりいいなぁと感嘆することしばし。金曜日の夜というのに人は殆ど居ませんでしたから、半ば貸切のような状態で8時の閉館までゆっくり堪能しました。
特に印象的だったのはやはり印象派前後の作品で、美術館前のポスターにもある(冒頭の写真)モネの「黄昏、ヴェネツィア」や、シスレーとピサロの風景画、それからゴッホにしては珍しいタッチの風景画「モンマルトルの風車」など、思わず絵の前で足が止まってしまいました。
図録は買わなかったので、写真は絵葉書の2枚だけ。

(コロー「森の中の若い女」1865年)
先日上野でたくさんのコローを見たばかりですが、ブリヂストンのこのコローも好きな作品の一つです。女性の腕や衣服のタッチが何とも柔らかで、まるで風景画のような情感が漂っています。
それからもう1枚は、ブリヂストンの中で私の一番のお気に入り。

(セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」1904-06年頃)
堅牢な構図、大胆なタッチ、具象から抽象への過程に輝く金字塔です。初めてこの絵を見たのは会社に入ってすぐ、初めて東京に出て来た時でしたが、それ以来何度見ても見飽きることがありません。この絵だけを見たさに昼休みに足を運んだことがあるくらいです。
展示の最後の一室には日本の洋画が20点ほど展示されてあり、青木繁の「海景(布良の海)」も久しぶりに目にしました。
という訳で、洋画の歴史的な流れがよく分かるように、文字通り絵から絵に散歩するにはうってつけの展覧会でした。会期が長いので、多分また足を運んでしまうと思います。会社帰りの楽しみがまた一つ出来ました。

美術散歩~印象派から抽象絵画まで
ブリヂストン美術館
2008年7月19日~10月19日
これは家が新しくなっても変わらない予定です・・・。
ブリヂストンの2枚は週半ばには絵葉書が届くと
思いますので、お楽しみに