渋谷のBunkamuraで開催中の「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」。
世界で唯一、家名が国名になっているリヒテンシュタイン侯国の、富と財力によって積み重ねられたコレクションの数々。日本にいながらにしてそのおこぼれに与るのはありがたい。
(ルーカス・クラーナハ(父)「聖バルバラ」1520年以降、油彩・板)
(ペーテル・パウル・ルーベンスと工房「ペルセウスとアンドロメダ」1622年以降 . . . 本文を読む
並木を抜ける風も夜は冷たくなり、小雪が舞ってもおかしくない雰囲気。
出足がやや遅れたものの、今年の牡蠣行脚は昨年タイミングが合わなかった「銀座スイス」から。濃厚なカキフライはそのまま、セットのエビフライはタルタルソースがいつもの食べ方。
同じに見えて揚げる時間に差をつけているのだろう、味わいが全く異なるのも毎度のこと。今年もようやく牡蠣のスイッチが入りましたよと。
銀座スイス
中央区銀 . . . 本文を読む
ジョルジュ・シムノンの The Yellow Dog(1931年)読了(原題 "Le Chien jaune" の英訳版。邦題『黄色い犬』)。
舞台はブルターニュのコンカルノーという港町。ある夜、カフェを出た常連の一人が銃で撃たれた。さらにその常連仲間が毒殺されそうになったり、別の一人が突如姿を消したりと、不可解な事件が相次ぐ。そこには常に見慣れぬ黄色い犬の姿。野犬ではなさそうだが、とすれば飼 . . . 本文を読む
上野の森美術館で開催中のゴッホ展。いかにもゴッホらしい、うねうねした作品も多いのだが、ごく初期のデッサンやリトグラフ、風景画も充実していて時間を忘れる。
(フィンセント・ファン・ゴッホ「秋の夕暮れ」1885年、ユトレヒト中央美術館蔵)
(フィンセント・ファン・ゴッホ「花瓶の花」1886年夏、ハーグ美術館蔵)
東京での会期は1月13日まで。その後、兵庫県立美術館に巡回(1月25日~3月2 . . . 本文を読む
バッハ・コレギウム・ジャパン定期演奏会。
毎年9月か10月頃に翌年度の案内が来るのだが、去年のその時からずっと楽しみにしていたブランデンブルク協奏曲。
6曲全て調性や編成が異なるのだが、各パートがまるで対話するかのように紡がれる旋律の受け渡しは、丁々発止というよりも和気藹々。
けれどそこにタイミングを刻む厳しさは勿論あって、そのメリハリこそが音楽を生き生きとさせる。あー素晴らしい。 . . . 本文を読む
冷たい雨と一緒に、昨日から一気に冬がやって来た気がする。
写真は池袋の「六坊担担面」、芝麻醤風味の「日式」汁なしで、目の前の置かれた瞬間、ここでしか味わったことのない香りがする。
始めは茹でた海老か何かなのかと思ったが、あとで調べるとそれが腐乳の風味だったのかも。
別の日に汁ありも食べたのだが、麺や具材をうまく使い分けた全くの別物で、いずれも素晴らしい完成度。
もう一種類の「成都式」 . . . 本文を読む
時々思いついては週末に仕込むパスタの具材。
ミートソースを2回に分けて使うことにし、ラザニアを作ってみた。
(四等分してお皿に取ったところ)
但し、ラザニアを茹でて氷水に取るとか、ベシャメルソースを作るとか、カミさんと手分けしないと同時並行はとても無理。けれど頑張った甲斐あって、味は抜群。食後の珈琲がまた美味い . . . 本文を読む
ジョルジュ・シムノンの A Man's Head(1930年)読了(原題 "La Tête d'un homme" の英訳版。邦題『男の首』)。
ある日、死刑を宣告されて収監中の男の独房に、脱獄を手引きするメモが届く。夜中に首尾よく脱獄できたものの、行く当てもなさげにパリの街を彷徨う男。それは実は、自らが逮捕しながらも男の容疑に納得がいかぬメグレ警視の、自身の進退をかけた大博打だった。やがて事 . . . 本文を読む
11月ももう半ば。辛いものを食べて店の外に出た時の爽快感たるや・・・と毎度ながらのお恥ずかしい季節感。
見慣れぬ名前に誘われて入った「175°DENO担々麺」。
自家製のラー油を175度で作るかららしいが、名前はさておき、辛味に旨味、そして痺れのバランスは抜群。
写真は汁なしだが、汁ありも秀逸。「阿吽」系が好きな人は是非。
175°DENO担担麺 GINZa
中央区 銀座 2-6-1 . . . 本文を読む
上野の東京都美術館で開催中の「コートールド美術館展」。
会場に入っていきなりのセザンヌ9点、特にその晩年の湖景は静かに高貴。
(ポール・セザンヌ「アヌシー湖」1896年、コートルード美術館蔵)
ドガの踊り子はいつどんなバージョンを見ても美しい。
(エドガー・ドガ「舞台上の二人の踊り子」1874年、コートールド美術館蔵)
研究所併設の美術館とあって、最新の研究成果や未完作品の紹介も面 . . . 本文を読む
スーパーパルサーのリビルド、完了。
ロゴが剥がれかけて焦ったが、捲れあがった部分をカットし、ペーパーをかけながらコーティングを重ね、無事にリカバリー。
久々だったが、革を触るよりもよっぽど自信を持って作業できるのは、それだけ練習と失敗を繰り返したからだな、きっと・・・ . . . 本文を読む
ドロシー・L・セイヤーズの The Nine Tailors(1934年)読了(邦題『ナイン・テイラーズ』)。
年の瀬も押し詰まったある日、ピーター・ウィムジィ卿の運転する車が田舎道で脱輪。雪のなかを歩いて助けを求めた寒村で、思いもかけず大晦日の鐘撞に参加するウィムジィ卿。
年が明けてロンドンに戻ったウィムジィ卿だったが、春先のある日、その村の教区長から手紙が届く。村のヘンリー卿が亡くなり、 . . . 本文を読む
東京ミッドタウン(六本木)のサントリー美術館で開催中の「美濃の茶陶」展。副題に「黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部」とあるように、桃山時代の美濃焼の名品が揃う。
会期終盤の金曜夜にもかかわらず会場は空いていて、時に豪壮、時に繊細な美濃の世界を存分に堪能。
(志野茶碗 銘 朝日影 桃山時代 16~17世紀 香雪美術館蔵)
(鼠志野柳文鉢 桃山時代 16~17世紀 サントリー美術館蔵)
会場のレ . . . 本文を読む
ジャン・ロンドーのチェンバロ・リサイタル(10/31王子ホール)。
2017年の初来日は聞き逃したが、NHKで放送された「ゴルトベルク変奏曲」を聴いて、次回は必ずとチェックしていた。
プログラムは、副題に "In the Italian Taste" とあるように、イタリアのスカルラッティと、イタリア様式に学んだ同い年のバッハの作品を交互に並べる。
80分休憩なし、随所に即興を交えなが . . . 本文を読む