竹橋の国立近代美術館で開催中の「熊谷守一展」。
白状すると、これまで晩年の塗り絵のような作品のイメージしか持っていなかったのだが、物を知らぬとは恐ろしい。
没後40年のこの回顧展。初期の油彩はともに切磋琢磨した同級生の青木繁を彷彿させるし、やがて面が線で区切られ、面が色彩になっていく様はポスト印象派からフォービズムの系譜。
(熊谷守一「群鶏」1961年、メナード美術館蔵)
(熊谷守一 . . . 本文を読む
サマセット・モームの短編集 The Trembling of a Leaf(1921年)読了。
副題に "Little Stories of the South Sea Islands" とあるように、いずれもサモア諸島やハワイが舞台。現地に渡った英米人の目線で描かれるそのストーリーは、シニカルで悲哀に満ちている。
6つある短編のうち、白眉はラストの『雨』。狂信的で道徳心に燃える宣教師が、身 . . . 本文を読む
何事も、思い込みや先入観を持たずにまずは試してみるのも楽しいなと、最近思う。パンケーキもそう。
年末に息子とカミさんが買い物の途中でたまたま寄ったお店のが美味しかったと言うので、試しに行ってみた。
生地にリコッタチーズを混ぜているとかで、フワフワ感が半端ない。シンプルにメイプルシロップでも勿論良いのだが、見よ、この挑戦的なクリームの量。
見た目はこってりだが、意外にあっさりし . . . 本文を読む
上野の国立西洋美術館で開催中の「北斎とジャポニスム」展。
北斎が当時の西洋絵画に与えた影響を、本家の作品とともに並べてることで見せる構成はなかなか見事。
会期終盤ゆえ会場は大混雑だったが、それでもドガの踊り子の数々、ロートレックやヴァロットン、ボナールの版画やリトグラフ、そしてラストにセザンヌのサント=ヴィクトワール山が3点並び、もうお腹いっぱい。
残念ながら東京のみの開催で、巡回はなさそ . . . 本文を読む
中学では個性的な先生に何人も出会ったが、音楽のK先生もその一人。「銀色の道」でジャズを語り、「知床旅情」のレコードを爆音でかけて教頭に「演歌」と言われた時は「違いの分からんやつ・・・」と吐き捨てる。部活の顧問だったこともあり、高校を含め六年間大変お世話になった。
そのK先生の授業で初めて聴いて度肝を抜かれたのがホルストの「惑星」。それは同時にスコア(総譜)を通してその仕掛けを覗く楽しさを知るき . . . 本文を読む