資本主義社会は合理性を追求するものです。脱炭素がお金を生むビジネスに変貌し、世界的マネーが流れ込み始めた今、議論している場合ではないでしょう。新しい再生可能エネルギー産業革命が起こったと認識し、❝脱炭素❞に舵を切らないと日本企業は世界から取り残されます。時代遅れの省エネ、火力発電所をアジアに輸出しようとしているアベノミクスを根底からひっくり返す、政策が求められます。人材・技術力トップレベルの日本に欠けているものはしがらみ、忖度から❝変わる勇気❞なのです。
以下抜粋コピー
世界有数の産油国アラブ首長国連邦。
今ここで新たな革命が起きようとしている。
建設が進むのは世界最大の太陽光発電所だ。
300万枚の太陽光パネルで原発一基分に相当する電気を発電しようというのだ。
驚くべきはその安さだ。
価格は1キロワットアワーあたり2.6円。
日本の石炭火力発電のコストのおよそ。
劇的な価格破壊だ。
世界最大の二酸化炭素排出国中国も動き始めた。
(爆破音)老朽化した石炭火力発電所を停止。
100基の建設計画をストップした。
パンダをかたどった巨大な太陽光発電所も登場。
二酸化炭素を出すエネルギーからの脱却を図っている。
こうした流れのきっかけとなったのは2年前世界各国が合意したパリ協定だ。
地球温暖化が進めば異常気象が増え人類は最大のリスクに直面する。
これを避けるため二酸化炭素の排出量の削減にとどまらず今世紀後半に実質ゼロにする事。
脱炭素社会を目指す事で合意したのだ。
自国の経済に不利だとしてパリ協定からの脱退を表明したアメリカ。
しかしビジネスと一体となった脱炭素のうねりは誰にも止められない。
巨額の利益を見込んで投資家は脱炭素を掲げる企業に資金を注ぎ込んでいる。
ジャパン!
(ブーイング)だが日本は世界の潮流から取り残されようとしている。
先月開かれた国際会議。
日本は厳しい批判にさらされた。
日本企業は危機感を強めている。
18世紀石炭を燃やす事で始まった産業革命。
今起きている脱炭素への動きは世界をどう変えようとしているのか。
脱炭素革命の最前線を追った。
先月6日ドイツで温暖化対策について話し合う国連の会議COP23が開幕した。
会議には世界197の国と地域の代表が参加。
パリ協定を実行するためのルール作りを行っていた。
だが会議場の外に目を向けるとこれまでとは全く違う光景が広がっていた。
そこにいたのは多くのビジネスマンたちだった。
ビジネスマンたちを突き動かすきっかけとなったのは2年前のパリ協定の採択だ。
パリ協定で合意されたのは地球の平均気温の上昇を産業革命前から2℃未満に抑える事。
これを実現するには今世紀後半に二酸化炭素の排出量を実質ゼロにしなければならない。
各国はそれに向けた対策を実施し5年ごとに進捗状況を報告する事が義務づけられた。
温暖化対策がもうけを生むと見定めた大勢のビジネスマンたち。
彼らが続々と向かったのはアメリカ企業が作った巨大なパビリオンだ。
トランプ大統領がパリ協定からの脱退を表明したにもかかわらず政財界の大物が集結。
熱気に包まれていた。
(拍手と歓声)そこには企業の活動を後押しする自治体の姿もあった。
(拍手と歓声)パリ協定への支持を表明したアメリカの企業や自治体は2,500を超える。
国内の排出量の35%を占める。
世界を代表する巨大企業コカ・コーラ。
マイクロソフトの姿もあった。
アメリカ政府の方針に反し二酸化炭素の排出をゼロにしていくと約束した。
なぜ今世界の企業は脱炭素に大きくかじを切ったのか。
28か国で1万店舗以上を展開する世界最大のスーパーマーケットウォルマート。
巨大ハリケーンによって店舗が浸水。
長期間閉鎖に追い込まれるなど年間平均で22億円の損害が出ている。
温暖化による異常気象が経営を圧迫しかねないという。
損害を防ぐには自ら率先して脱炭素化に取り組むしかない。
ウォルマートは対策に乗り出した。
店舗の屋上に太陽光パネルを設置。
店で使う電気を全て賄う計画だ。
今や太陽光による発電量はアメリカの事業者の中で第2位となっている。
このほか配送トラックのドライバー8,000人にエコドライブを徹底。
冷蔵設備を効率のよいものにするなどさまざまな対策を進めた。
この取り組みは驚くべき結果をもたらした。
エネルギーコストが劇的に下がり巨額の利益につながったのだ。
脱炭素の取り組みは金を生み出す。
ウォルマートをはじめ今世界の企業が再生可能エネルギーだけで事業を運営する事を目指し走りだしている。
この動きを加速させているのはマネーの流れの変化だ。
投資家の意識が大きく変わったのだ。
COP23の会場には金融界の大物たちが顔をそろえた。
大手金融機関がこぞって脱炭素を掲げる企業に大量の資金を振り向け始めた。
パリ協定が企業に対する評価を一変させたからだ。
パリ協定は今後世界で排出できる二酸化炭素の量に事実上の上限を設けた。
試算によれば現在のペースで化石燃料を使い続ければあと25年ほどで上限に達してしまう。
このため地中にある化石燃料の2/3は掘り出しても使えなくなるというのだ。
つまりその価値はないに等しい事になる。
化石燃料への依存度が企業の価値をはかる新たな物差しとなったのだ。
世界の投資家は石炭火力発電所などの化石燃料関連の事業から次々と投資を撤退し始めている。
およそ100兆円を運用するノルウェーの年金基金など撤退を表明したのは世界の機関投資家700に上るという。
投資先を再生可能エネルギーや脱炭素を表明した企業へと乗り換えている。
石油王と呼ばれたアメリカのロックフェラー一族もいち早く動いていた。
19世紀後半石油の採掘によって巨万の富を得たロックフェラー一族。
初代から数えて5代目にあたるジャスティン・ロックフェラーさん。
化石燃料関連の会社からの投資撤退を決断したのはその将来性に疑問を感じたからだという。
脱炭素という新たな基準で投資先を探し始めたロックフェラー。