大前研一著書『マネーはこれからどこへ向うかグローバル経済VS国家主義がもたらす危機』を読みました。最盛期6000兆円ものホームレスマネー(高いリターンが得られる投資先を探し、世界中を駆け巡っている。日本にはほとんど入ってこない。)がアメリカに向かっている。世界時価総額ランキングで1位~12位まで米国企業が独占しています。一方、取り残されたアベノミクスが失敗した場合には日本はハイパーインフレに陥る。若い人の生活が良くなる反面、年金・預金で生活する高齢者が非常に苦労する。恐ろしい、日本未来地図が書かれていました。
以下抜粋コピー
安倍政権は外交・内政ともに多くの課題を抱えています。
外交ではトランプ氏と日米関係をどう築くか、難しい舵取りを迫られています。
イギリスはEU離脱をめぐる混乱がしばらく続きますし、6月にはメイ首相が仕掛けた解散総選挙があります。
中国との緊張も高まっています。韓国では朴槿恵大統領の後任として文在寅(ムンジェイン)氏が新しい大統領に選ばれましたが、日本との慰安婦問題の合意は破棄すると言っており、韓国との関係再構築という難題が控えています。
内政について安倍首相は成長戦略を強調していますが、いよいよ打つ手がなくなり、カジノを含む統合型リゾート施設、IR(Integrated Resort)が成長戦略の中心という「素晴らしい」展開になっています。
アベノミクスの失敗を市場が認知すればどうなるか。
国債は暴落し、日本はハイパーインフレという地獄の入り口に足を踏み入れることになります。
日本の国債がこれまで安泰と受け止められてきたのは、そのほとんどを日本人が購入しているからです。自国の国債が暴落しては自分たちが困りますから、売りに走ったりはしないと考えるのが普通です。
しかし明確に意識して国債を買っている個人は非常に少なく、実際に買っているのは日本の金融機関や日銀です。金融機関であれば、いざとなれば資産を守るために売り逃げに転じる可能性もあります。
海外では日本国民が国債を買っているのだと錯覚し、投げ売りが生じないと考えているようですが、そんなことはないのです。
また最近は外国人の持分も増えています。一気に売りに転じるなど、外国人の取引状況によっては暴落につながる可能性もあり、油断はできません。
ハイパーインフレ時代のサバイバル術
次にハイパーインフレへの対応策についてです。
これからの日本の最大の論点は、少子高齢化で借金を返す人が激減する中、膨張する約1000兆円超の巨大な国家債務にどう対処していくのか、という点に尽きます。
私は、このままいけば、日本のギリシャ化は不可避であろうと思います。歳出削減もできない、増税も嫌だということであれば、もうデフォルト以外に道は残されていません。
日本国債がデフォルトとなれば必ずハイパーインフレが起こります。
そのとき、私たちはどうしたらいいのか? そのときのために今からできる対策を述べておきます。
ハイパーインフレで地獄を見る年金受給者
ハイパーインフレになったら年金受給者は大変です。今までハイパーインフレになった国では、年金受給者が地獄を見ました。年金は固定額ですので、今まで20万円だと思っていたお金が、例えば実質2万円の価値になるのです。
ロシアの場合、高齢者が食料品を購入できなくなり、家庭菜園で野菜を育て、それでなんとか7〜8年食いつなぐという状況になりました。
私はハイパーインフレ時のロシアをこの目で見てきましたが、若い人の生活がよくなる反面、高齢者が非常に苦労していた姿が印象に残っています。
例えば、外出先から家まで5〜6キロメートルあるというとき、若い人はタクシーやバスに乗りますが、高齢者はバスに乗るお金もなくて10キロメートルでも歩いていました。それくらい年金受給者(高齢者)の生活は大変になるのです。
対策としては、資産を、キャッシュを生む不動産(好立地のマンション)や株などへとシフトさせることをお勧めします。タンス預金、定期預金などはいずれも紙くずになるだけですから、持っていても意味がありません。
キャッシュフローを生むものは、不動産以外に、都市部での民泊サービスなどがあります。今アメリカなどではAirbnbでお金を稼ぐ人が増えていますが、日本でも訪日外国人の宿泊に占める民泊の比率が高まっているようです。これは相当キャッシュを生む力を持っています。
株を買うなら、生きていくために欠かせない商品、つまり日常必需品を作っている会社に投資するのがいいでしょう。ハイパーインフレのときはいろいろな産業・企業が経営不振に陥りますが、生活にどうしても必要なもの、これだけは残ります。