「日本がいい」と思わない日本人が多く住んでいる日本は外国人からは“世界で最高の国”を決める国際ランキング「ベスト・カントリーズ」(2019年版)で、日本が総合第2位に選ばれ、注目を集めている。他国の人々が日本についてよく思っていても、日本の人はそんなに素晴らしいとは感じていない、ことが多いようです。灯台下暗しですね。「起業家精神」が世界1位というのは驚きです。チャンスがある国なのです。日本の若者はどんどんチャレンジすべきでしょう。
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“世界で最高の国”を決める国際ランキング「ベスト・カントリーズ」(2019年版)で、日本が総合第2位に選ばれ、注目を集めている。
このランキング調査は、米ペンシルバニア大学ウォートンスクールと、米誌「U.S.ニューズ&ワールド・レポート」、世界最大の広告代理店WPPグループで93ヵ国に拠点を持つ「BAVコンサルティング」が、毎年共同で行っているもの。
初年度(2016年)に7位だった日本が躍進する一方、米国は4位から8位に下降。いったいなぜなのか? 主要国のランキング動向をお届けする。
本ランキングは、「各国がグローバルでどう認識されているか」を捉えるため、36ヵ国・2万人超の知識人層と、ビジネスリーダー、そして一般人へのアンケート調査をもとにしている。
その際、ウォートンのデイビッド・レイブスタイン教授とBAVは、国の成功を示す65の特質を質問化し、指標とした。また、そのうちの57指標を、「冒険性」「国民の権利・進歩的な姿勢」「文化的影響力」「起業家精神」「伝統」「将来性」「ビジネスへのオープン性」「パワー」「生活の質」の9つのサブカテゴリーにまとめた。
さらに、この9つのサブカテゴリーを一人あたり購買力平価GDPとの相関から加重平均をとり、総合ランキングとしている。(なお、ランキングへの影響が大きいサブカテゴリーは、「起業家精神」「生活の質」「国民の権利・進歩的な姿勢」「将来性」の4つだ。)
総合ランキング上位国について、前回(2018年)から今回(2019年)にかけての変化を見ると、スイスが変わらず首位。日本が5位から2位へ大きく上昇し、つづくカナダ・ドイツ・英国はひとつずつ順位を下げた。また、スウェーデン・オーストラリア・米国が前回同様に6~8位。そして、ノルウェーが12位から9位に順位を上げた。
2016~2017年にかけては米国の大統領選など目立った変化をはさんだため大きな変動があったが、2018~2019年にかけてはおおまかにこれまでの“延長上”にある。
だが、これは安定を意味しているわけではない。グローバル経済やテロリズムへの不安、経済格差、気候変動などの問題が世界には横たわる。世界の人々の多くは、不安定な政情にリーダーシップの危機を感じている。
本調査でも、50%以上の人々が「昨年より世界は悪くなった」と答えている。また70%以上が「ナショナリズムが強まっており、グローバルなことよりも国内に関心がある」と回答している。さらに3分の2が「自国は安全と思っている」が、「世界が安全と思う」のは3分の1に過ぎない。
こうした危機感がランキングの結果にも一部反映されているようにみえる。
発展を続ける中国は、前回の総合20位から16位に上昇。サブカテゴリーでは、「パワー」3位、「将来性」3位が目立つ。
レイブスタイン教授は、「課題もあるが、初めて訪中した1981年からここまで信じられない変身を遂げており、進化を続けている」と語る。
このランキング調査は、世界の人々の「認識」を計測する“国のブランド研究”だが、各国が世界的にどう受け止められ、感じられているかを理解することは、人々の判断や行動を考察するうえでも示唆が深いだろう。
日本は総合ランキングで2位。これは2016年の7位から、前々回と前回の5位を経て、躍進したかたちだ。しかし、この結果を「そうか、なるほど」とすんなり受け入れる日本人はどれだけいるだろうか?詳しい内容を見る前にひとつ示しておきたいことがある。それは、今回の調査対象となった国々のほとんどで、自国に対するイメージが他国からのイメージを上回っているということだ。
だが、日本はその逆をいく最たる例で、他国の人々が日本についてよく思っていても、日本の人はそんなに素晴らしいとは感じていない、という結果だった。
レイブスタイン教授は、「日本はテクノロジーへの取り組みなど、とても起業家的だ」と語り、また「日本というとエレクトロニクス製品を連想するが、たとえ他国にお株を奪われたような分野でも、長きにわたってブランドとイメージが人々にかたく浸透している」と言う。
またレイブスタイン教授は、「日本はスイスのようにクリーンで安全だ」と指摘する。自らの体験からも、「日本ではさまざまなものが秩序だっていて、素晴らしい文化を持っている。そして騒音も少ない」と褒めている。このように海外の人々の多くは、日本にとても良いイメージを持っており、それは日本国内の人々によるイメージを上回っているのだ。
さて、日本がサブカテゴリーで10位以内に入ったものは、「起業家精神」1位、「将来性」5位、「文化的影響力」6位、「パワー」7位。また前回より順位を上げたものでいうと、「国民の権利・進歩的な姿勢」が19位から17位へ、「生活の質」が14位から 13位へ、「伝統」が12位から10位へ。こうしたソフト面のほかに、「起業家精神」が2位から 1位へ、「ビジネスへのオープン性」が26位から22位へと、ビジネス環境もバランスよくアップしている。
なお「起業家精神」とは、ベンチャー企業のことではなく、“国全体のイノベーション”を評価するもの。世界は日本を“イノベーション大国”として認識しているということだ。(「起業家精神」の評価要素のうち、「革新性」「技術の専門性」とともに「確立されたインフラ」や「スキルの高い労働力」「教育された人材」において、日本は満点を記録している。)
また、日本はまだまだ“ポテンシャルが高い国”として認識されており、ダイナミックさやユニークが評価される「将来性」では5位となっている。(1位UAE、2位シンガポール、3位中国、4位インド。1~5位の順位は前回から変動なし。)また日本は「未来志向」で1位となっている。
とかく日本国内の人々はウチに閉じて国際性に欠ける面があり、海外の人々の感じ方を意外に思うかもしれない。だが、筆者の体験と最近のガッツフィーリングでも、日本のイメージは高く、かつ上昇基調であることを言い添えたい。
高評価の一方で、世界が見た“ニッポンの課題”についても紹介しておきたい。日本の順位が低いサブカテゴリーは次の3つだ。
まず「冒険性」39位。楽しさ、天候、景色、人々のフレンドリーさなど、観光に関係する項目だ。ちなみにサブカテゴリー以外では「ひとり旅」27位と、日本は“自由に楽しめる国”とはあまり思われていないようだ。
次に「ビジネスへのオープン性」22位。前回(26位)から改善したとはいえ、税制や官僚的な組織、コストの高さなどが、厳しく評価されている。
そして「国民の権利・進歩的な姿勢」17位。「男女平等」、「信教の自由」、「人権」、「政治パワーの分散」などにおいて、世界に厳しく見られている。
サブカテゴリー以外で低水準だったものでは、「退職後の人生」37位、「留学」21位、「子育て」19位、「女性(進出)」18位が目立つ。日本は暮らしやすさについてスイスやカナダ、北欧諸国に遠く及ばず、また国際性が欠けていると認識されていることがわかる。女性進出については言うまでもないだろう。
しかし、これらをふまえても、先の“自己評価の低さ”は大きな課題として認識した方がよい。問題は認めなければならないが、良さや強み、そして外からのイメージも理解することが大切だ。「そうなりたい」と思わなければなれないし、自信や自己肯定感が乏しければ、明るい未来はつくれないだろう。
「次回は日本が1位になると期待している」とレイブスタイン教授は言う。これは今回の結果に加えて、さらに2020年の東京オリンピックがポジティブな影響をもたらすだろうと期待されるからだ。
世界の認識とのギャップを理解し、人々がもっと自信を持って、明日に向かって明るく進む“新たな日本”となることを願いたい。