東京電力福島第1原発の処理水放出が始まって31日で1週間になる中、中国の反発が拡大の一途だ。日本の水産物輸入を停止すれば、日本産食品の不買運動の呼びかけ、日本国内に中国からとみられる国内への嫌がらせ電話が止まらない。放射性物質を海洋に放出するなと声高に叫ぶが、とんだブーメランが炸裂していた。
処理水の海洋放出で設備や運用にトラブルはなく、周辺の海水や魚の放射性物質トリチウム濃度も異常は起きていないが、中国は過剰ともいえる対応に終始している。
高市早苗経済安全保障相はX(旧ツイッター)に「中国政府が『日本産水産物輸入停止措置』を止めない場合に備え、日本政府もさらなる対策を真剣に検討するべき段階に来ている」と投稿。自民党内からは世界貿易機関(WTO)への提訴を求める声が出ており、日中間の緊張が急速に高まっている。
そんな中、処理水の海洋放出や食品の安全に不安を抱える中国人たちはガイガーカウンターを購入し、自宅の放射線量を測定したところ、とんでもない結果が出たという。
中国のSNS微博に28日、書き込みがあった。上海在住の人物(真偽はわかりませんし、当然政府関係者から削除されています。)が「ガイガーカウンターで測った放射線量は東京の976倍です。最高9・7マイクロシーベルトです。本当にショックでした。CCTV(中国中央テレビ)のニュースデータによると、東京は0・01ですから、東京の976倍です! 頭痛がしています」と記し、測定結果の画像をアップした。この書き込みは削除されたが、微博以外のSNSにも転載され、拡散し、騒動になった。
毎時9・7マイクロシーベルトは、年間積算放射線量で約85ミリシーベルトに相当する。これは福島の帰還困難区域の「年50ミリシーベルト超」を大きく上回る危険な値だ。上海のこの数値は間違いなのか。そうでなければ、どこから来たというのか。
台湾メディア「ニューストーク」に対し、カナダのヨーク大学の沈栄琴准教授は「中国人は海産物を検査するためにガイガーカウンターを購入した。その結果、放射能汚染は検出されなかった。一方、中国の建築資材は概して過剰な放射能汚染の問題を抱えており、それが発覚した。中国の建築物における放射能汚染の状況が珍しいものではないことが示されてしまった」と話している。
そして、これが中国の不動産危機に拍車をかけているという。
「現在、人々は放射能汚染が海からではなく、家庭やオフィスから発生していることに気づき、過剰な放射線にさらされていると認識している。放射能汚染が毎日続く。これが発覚したことは、下落する不動産市場に追い打ちをかけ、中国経済をさらに困難に陥らせることに等しい」(同)
中国の不動産不況は深刻で、コロナ禍は落ち着いたが、消費者の住宅購入意欲には結びつかないまま、開発大手の資金繰りが悪化。このまま崩壊すると、リーマン・ショック並みに世界経済に悪影響を与えると危惧されている。
中国事情通は「10年以上前から、中国では放射性物質が含まれた砂などをレンガやセメント、アスファルトに練り込んでいたことが問題になっていました。中国は急速に発展して、建材のための砂が枯渇していたんです。そのため、昔に核実験を行った場所の近くや、高自然放射線地域近くの砂を使わざるを得なかったということです」と指摘する。
日本の処理水海洋放出にイチャモンをつける中国だが、㌧だやぶヘビといったところだろうか。