経営危機の中国不動産大手「恒大集団」は、トップの許家印氏について、犯罪行為に関与した疑いで当局による強制措置が取られていると発表しました。
恒大集団はきのう夜、香港証券取引所への公告の中でトップの許家印氏について、「犯罪行為に関与した疑いで当局による強制措置が取られている」と発表しました。容疑の内容や強制措置の中身については明らかにされていません。
アメリカのブルームバーグ通信などは27日、許氏は今月、警察に連行され、許可なく外出や他人と連絡を取ることができない「居住監視」に置かれていると報じていました。一方、一部中国メディアは「河南省の洛陽市で逮捕された噂がある」と伝えています。香港取引所は28日、恒大株の取引を停止したと発表した。傘下の不動産管理会社「恒大物業集団」と電気自動車(EV)メーカー「中国恒大新能源汽車集団」の株式も売買を停止した。
一方で、一連の動きは、習近平と敵対する江沢民氏を中心とする上海閥との権力闘争がらみとの見方もある。 1990年代に許家印氏が裸一貫で創業した恒大集団は江沢民時代に急成長を遂げ、上海閥の地盤である香港での資金調達で巨大化した。 その展開を支えたのが江沢民派の番頭役だった曽慶紅・元国家副主席の人脈だったとされる。 曽慶紅の息子・曽偉、弟・曽慶淮とその娘の曽宝宝らと許氏は直接、間接につながり、利益集団を形成した。
許氏(64)の資産は現在19億米ドルで、ピーク時から95%減り、同氏の将来は不透明だ。21年終盤にデフォルトに陥った恒大は債務再編を模索。計5350億元(約10兆8600億円)に相当する数百件の訴訟に直面し、負債総額は3280億米ドルに上る。