アメリカの億万長者が税金をほとんど払わずに資産を増やしていくのに使っている「Buy, Borrow, Die(買って、借りて、死ぬ)」という戦略についての解説が、掲示板型ソーシャルニュースサイトのRedditに投稿されました。
「買って、借りて、死ぬ」戦略を一言で説明すると、資産を買ってからそれを担保に借金し、それをそのまま子どもに相続させるというもの。名前の通り、この戦略は3つの段階に分かれています。 ◆ステップ1:買う まず、ある人が5000万円で資産を購入するとします。その資産が年利8%で値上がりしたと仮定すると、10年後には約1億800万円となります。そのため、現金を手に入れようとして資産を売却すると、5800万円のもうけに対して課税されます。 ◆ステップ2:借りる しかし、課税されるのはあくまで資産を売った場合です。このステップ2では、資産を売却するのではなく、資産を担保にして銀行から借金をします。いくら融資を受けられるのかは審査の結果次第ですが、仮に90%の与信枠が与えられた場合、税金を払うことなく自由に使える現金9700万円を手にすることができます。 ◆ステップ3:死ぬ 資産がさらに値上がりを続けたとすると、35年後の資産価値は7億4000万円となります。その後、資産の持ち主が亡くなると遺族は7億4000万円から投資額の5000万円を差し引いた6億9000万を利益として手にすることができますが、これには税金がかかりません。
なぜならアメリカには基準額、この場合は投資額の5000万円を被相続人の死亡時の水準に引き上げる制度があり、これにより7億4000万円の売却益から7億4000万円の調整済み基準額が差し引かれてゼロになるからです。 資産家の子孫は資産を丸ごと相続して、それを元手にさらに「買って、借りて、死ぬ」のサイクルを繰り返していくことができます。これが、「買って、借りて、死ぬ」です。 とはいえ、この解説をRedditに投稿したユーザーはあえて説明を省いており、実際のプロセスは専門性の高い複雑な仕組みなので、大抵はプロの弁護士の手に委ねられるとのこと。また、銀行からお金を借りる際は、最低でも3億ドル(約445億円)は純資産を持っていないと、優遇を受けられないとされています。つまり、この手法は元から膨大な資産を持つ億万長者が数世代かけてさらに資産を増やすための手法だと言えます。
なお、所得税の回避と相続税の回避は同時には行えないと指摘されることがありますが、銀行から融資を受ける際に資産を直接担保にするのではなく、財産を自分の財産から切り離す「撤回不能信託」という仕組みを利用し、受託人に信託資産を担保とした融資を受けさせる「財産凍結テクニック」という方法を使えば可能なのだそうです。
「買って、借りて、死ぬ」日本式にアレンジすれば税金をほとんど払わずに資産を増やしていくことか可能かもしれません。