情勢分析で定評のある選挙プランナーの松田馨氏が、現時点で衆院解散した場合の政党別獲得議席予測。政権与党の自民党と公明党は「過半数割れ」に追い込まれ、野党第一党の立憲民主党が躍進する結果となった。
報道各社の世論調査で、岸田内閣の支持率は下げ止まりの傾向があるが、LGBT法の法制化による「岩盤保守層」の離反や、増税・負担増路線、派閥裏金事件による大逆風は収まらない。
岸田首相の自民党は、現有258議席から53議席減の205議席という予測だ。第一党は維持するが、歴史的大惨敗である。
松田氏は与党の「『政治とカネ』問題の対応が決定的ともいえる打撃だとした。内閣支持率低迷が続き、ここ数カ月で自民党の政党支持率も低下してきたのも危機的だ。接戦の小選挙区では、競り負ける可能性が高まっている」と分析する。
衆院常任委員会の委員長ポストを独占し、委員数でも野党を上回る「絶対安定多数(261議席)」はおろか、全委員会で委員長を出せる「安定多数(244議席)」も失う。国会運営に重大な影響を及ぼしそうだ。
山口那津男代表の公明党も、現有32議席から7議席減の25議席。
この結果、岸田首相の〝死守ライン〟とされる「自公過半数」(計233議席)を割り込む見通しだ。
一方、泉健太代表の野党第一党、立憲民主党は現有98議席から151議席に躍進する。ただ、過半数には及ばない見通しだ。
泉氏は「政権交代を求める声が高まっている」と強調するが、次期衆院選の小選挙区立候補予定者は約180人にとどまっている。自民党の「政治とカネ」の問題を批判する最中、幹部の政治資金パーティー開催が取り沙汰されるなど、十八番の〝ブーメラン〟を発動させている。
松田氏は「自公与党が過半数を割っても、野党側も塊(かたまり)として過半数が取れない。『政治とカネ』の問題や不祥事では、立憲民主党も対応がグダグダだ。小選挙区では個人が強さを発揮するが、国民の信頼を勝ち取っていない」と指摘。
馬場伸幸代表の日本維新の会は伸び悩みそうだ。地方選挙の躍進にブレーキがかかり、現有41議席から45議席獲得にとどまった。
松田氏は「大阪万博への批判があるなか、議員らの不祥事もあった。一定の支持があるなかで選挙に勝ち切れない。『自公政権に代わってほしい』という雰囲気があるが、お膝元の近畿・関西以外には浸透できていない」と語った。
玉木雄一郎代表の国民民主党は、現有7議席から10議席に。
田村智子委員長となった共産党は、幹部パワハラ騒動や、党首公選制を求めた党員除名など騒動が続いて10議席の現状維持だ。福島みずほ党首の社民党も「1議席」を守る見通しだ。
山本太郎代表のれいわ新選組は現有3議席から6議席に。神谷宗幣代表の参政党は新たに4議席を獲得するなど新興勢力として定着しそうだ。
松田氏は「れいわと参政党は、統一地方選で地方議会に議席を得た。足場を固めたことで、安定した存在感を示しつつある」と語る。
百田氏とジャーナリストの有本香氏が「日本を豊かに、強く」と結党した日本保守党は2議席獲得の可能性があるという。
松田氏は「4月の衆院東京15区補選で敗れはしたが、一定の票を獲得できることを証明した。近畿や東海などの大ブロックで候補者を擁立できれば、比例の議席を獲得できるかもしれない。誕生間もない政治団体で、組織的な選挙戦にも課題があるが、今後の動きに注目だ」と語る。
自公与党にとって厳しい予測となったが、松田氏は解散の可能性をどう見るのか。
「岸田首相が解散するのは相当厳しい状況になりそうだ。自民党に怒る旧来からの支持層は、立憲民主党などに投票することはせず、結果として投票に行かない。衆院補選では、自民党にとって有利なはずの低投票率で自民党が負ける現象が起きた。政治に不満がある無党派層も、投票を棄権する傾向があり、次期衆院選は、さらに投票率が落ちる可能性がある。自民党は従来の支持層を呼び戻せるか。野党側は、どれだけ無党派の票を掘り起こせるかがカギになる」と分析した。総選挙勝利から今秋党総裁選まで大きな選挙がまったく無い〝黄金の3年間〟をおう歌していたはずの岸田首相。〝伝家の宝刀〟衆院解散権もにわかには使えない状況にまで追い込まれ、党内では「もう岸田では選挙を戦えない」とのダメ出し論が噴出。 結論は岸田首相が解散するのは相当厳しい、9月の自民党総裁選で指名される次期首相が、敵失や世論情勢を読みながら解散するのではないでしょうか。
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