亡者送りは浅草寺の「温座秘法陀羅尼会」の秘密結願として行われます。この時燃やされる松明のかけらは疫病退治に効果があるとされます。以下浅草寺のホームページ等に依ります。
「温座秘法陀羅尼会」は浅草寺全住職により勤修する年頭の法要で、江戸中期より伝わる年間で最も厳粛な行事。昼夜とぎれることなく7日間にわたって「観音秘密供養法」という修法を168座行なう。
修法が1座終わるとすぐに修法者が交替して修法を始め、座が冷える間もないため「温座」と呼ばれる。「観音秘密供養法」を修することから「秘法」であり、修法が行なわれる本堂内陣の一室は幔幕で覆われて、最終日まで外部からはうかがえない。そして、一座終わるごとに、『千手千眼観世音菩薩広大円満無碍大悲心大陀羅尼』と『観音経』を唱えることから、「陀羅尼会」の名がある。この長い修法では、「天下泰平」「玉体安穏」「五穀豊穣」「万民豊楽」など、世界平和や日本国全体の幸福が祈願される。
行事は次のように進行する。1月12日午前6時、一山の住職全員が本堂内陣の一室に出仕するなか、浅草寺貫首によって第1座の修法が始められる(開白)。そして168座目の最後の1座(結願)は18日午後5時頃から開始される。この日の夕刻には、道場のまわりにめぐらされた幔幕が引き上げられ、ご信徒にも結縁の場が与えられる。温坐陀羅尼が結願すると壇が壊され境内の全灯火が消され亡者送りと為る。まず裏堂から鬼二人が大松明を持って銭塚地蔵堂の方へ去る。続いて一人の僧が供物を入れた筐を持って現れるとこれを頭巾を被って松明を持った二人の僧が追う。三人は堂内を三周して銭塚地蔵堂付近の熊野権現の裏手に行き、供物を埋めて亡者を送ったことになる。この亡者送りは追儺會の一つと言われ松明の燃えさしは疫病除けになるとされる。