Fukunosukeです。
マカオと聞いて、是非ともやってみたかったカジノ。
ラスベガスでは、10分で60ドルすった僕だから、ギャンブルのセンスなんかない。そもそも
染みったれた性格なので、賭け事は性分に合わない。
でも、マカオ。深夜特急のマカオ。沢木耕太郎が自分を見失いかけたマカオ。その気分をちょっと
だけ追体験してみようかと思ったわけ(そういう人、意外に多いらしい)。
というわけで、ベネチアンのカジノに挑戦。深夜特急に描かれた場末感はなく、チョーゴージャス系。
まあ、そこは家族旅行の範疇、何かあっちゃいけないので。
写真はここまで。カジノ内は当然撮影禁止。あしからず。
やってみたかったのは、深夜特急で主人公が夢中になった「大小(Sic-Bo)」。サイコロ3つを
使った丁半賭博。サイコロ3つを振れば、最小が3、最大が18となる。この出目を当てるゲーム。
ルーレット同様に様々な賭け方があるが、簡単なのは、ぞろ目を除き、出目が4~10なら小、
11~17なら大、大小いずれかを当てる賭け方。
つまらない。
でも、深夜特急であんなに興奮したんだもの、何かあるに違いない。とりあえず、軍資金は
一人1万円、2人で2万円と決めた。僕らにとっては結構な大金です。思い切って人生の
勉強代と決めた金額。でもギャンブラーに言わせればケチな勉強代なんでしょうねー。
だから大物になれないって? その通り。何が悪い。
まずは、しばらく場をみる事にした。
ゲームの手順はこう。3つのサイコロは、スノードームみたいなガラスの筒に入っている。
ディーラーがそこにフタを被せ、中が見えないようにしてサイコロを振る。振るというか、
ボタンを押すと、中のサイコロが転がる。必ず、3回ボタンを押す。「バッコン、バッコン、
バッコン」という音がする。この音が、何だか気持ちがいい。サイコロが振られると、
ディーラーはベットを促す。客は、思い思いの場所にチップを置いていく。
客がひと通り賭け終わると、ディーラーが「もうないか?」と最後の確認をし、ベルをチン、
チンと2回鳴らし、ベットが終了する。
いよいよフタが開けられる。フタが開くと、ディーラーは出目のボタンを押す。すぐに、当たりの
枠に明かりが点く。どれが当たりか瞬時に分かる。「2・4・6の大」、客がちょっとざわめく。
テンションの切れない絶妙なスピード感でゲームが進行する。
しばらく見物していたら、どうやら分かってきた。台には、過去10回分ぐらいの大小の
出目表がある。これが必ずしも「大小大小大大小」という、ランダムな出方じゃない。
例えば、「大大大小大大」とか、「小小大大小小小大大」とか、不思議な規則性がある。
ディーラーが出目を操作している??
本当のところは知らない。けど、そうだとしても、客が賭けるのは、ディーラーがサイコロを
振った後だ。だから、客は、ディーラーの手を読めばよいのだ。
客の方も、明らかに五分五分と思って賭けてはいない。出目のパターンを推理して、自分
なりの確信を持って賭けている。だから、このパターンが顕著な台が盛り上がっている。
「大」ばかり8回も続いている台などは、「次は何がでるか?」と、興奮のるつぼになっている。
この出目表にそって、次の出目を予想してみる事にした。その台では、
「大大小大小大大大大小大」という感じで、「小」は2回続かず、「小」の次には必ず「大」が
出るという規則性があった。
そうこうしていたら、「小」が出た。
同じように場をみていたhiyokoが、「次きっと大だよ。賭けてみれば」と促す。僕もそう思う。
よし、やってみよう。
ディーラーがサイコロを振った。バッコン、バッコン、バッコン。
次々にチップが置かれていく。「大」に賭けるものが7割弱、「小」に賭ける者が3割強。
やはり、他の客もこの傾向を分かっている。パターンに乗ろうとする者が7割いて、裏を
かこうとするものが3割いるという寸法だ。いかにも、世の中の縮図っぽい。
僕は、「大」にミニマムベットの300HKD(ざっと3300円)を置く。
思わず生唾を飲み込んだ。、、、3000円で? 我ながら相当なヘタレだ。
ディーラーがフタを開ける。「4・4・5の大」
「お、『大』きた!」
300HKDが、600HKDになって返って来た。
次も、「小」が出るまで待ち、その次に「大」に賭けてみる。「3・5・6の大」、当たり。
こんなパターンばかりではないだろうと、次はひねくれてみた。つまり「小」が出た
次に、続けて「小」に賭けた(裏をかこうとする3割に乗ってみたわけだ)。
結果は、「4・6・6の大」
むー、くそー。6000円儲けて3000円失った。
いよいよこの辺りから、「ディーラーは出目を操作している」としか思えなくなり、
出目のパターンとディーラーの雰囲気を見ながら賭けることにした。
ちなみに、マカオカジノのディーラーは、マカオ人しかなれないそうだ。マカオ人の
人口は限られているから、今はとても安定した仕事らしい。ディーラーを育成する
学校もある。そうなれば、中にはやる気のないディーラーもいるだろう。そういう
怠け者ディーラーは、延々同じパターンを繰り返したりするに違いない。そんな風に
様子をうかがいながら賭けていたら、なんだか面白くなってきた。
気が付いたら、何と6回賭けて5回勝ってしまった。
あれ? 900HKD(1万円)からスタートして、手元は2400HKDになっている。
予想もしなかった事態だ。 本当なら、5分でオケラになって「所詮賭け事なんてくだ
らない」という人生訓を得て退散するつもりが、あろうことか勝ち越している。
hiyokoもぼちぼち勝っていて、900HKDスタートから1400HKDになっている。
でも、ここまでが限界。
テーブルを変えて、パターンを読み、500HKDを「大」に賭けた。
出た目は、「1・2・4の小」
あちゃ、やられた!
ところが、明かりが点かない。ディーラーはサイコロを吟味し、「ノーゲームだ」と
言っている。サイコロのひとつが、ふちにかかって傾いている。なるほど、こういう
場合はやり直しになるのだ。どうやら、助かったらしい。
しかし、ここで何かが狂ってしまった。その500HKDを回収し、しばらく場を静観する
べきだった。でも、そうしなかった。「大」に500HKDを張ったままにしてしまった。
これまで、あんなに慎重に事を運んできたのに、突然、何の推理も根拠もないまま、
意地だけで「大だ!」と踏んでしまった。
出目は、「1・3・3の小」 案の定だ。
一瞬で5500円消えた。たかが5500円だけど、ずい分あっけなかった。
なんだか、急に醒めてしまった。なんとなく、もう十分な気がした。ここが潮時と思い、
切り上げることにした。
(え? その程度の事でもう止めるの? 記事にならないじゃない??)
ヘタレな小者ですみません(笑)。こんな事では、ミリオネアで、最後に1億円賭ける質問、
僕には挑めないでしょう。それが100億円だったらどうだろ?潰瘍になるか、気絶するな、
きっと。
大きな賭けに挑むということは、「その勝負に勝つ自分を信じることができるから挑める」
のでしょう。挑めないということは、そういう自分をイメージできない、自分を信じられない
ということ。僕は自分を信じられないらしい。褒めちゃいけないけど、「マカオのバカラで
100億円すった御曹司」はすごいと思う。
「ギャンブルは、人生の全てを教えてくれる」という台詞があるそうです。まさかと馬鹿に
していたけど、意外に奥の深い言葉かもしれない。
僕はとても勝負師にはなれなそうだし、自分が大物でない事もしみじみ感じてしまいました。
でもそれはそれでしょうがない。そういう性分すら見極めさせてくれたギャンブルはすごい。
いろんな意味で人を丸裸にしてしまうんですね。
なんてことを、これしきのギャンブル体験で語っちゃうというのは、噴飯ものですなー。ははは。
失礼いたすました(汗)。
私自身はギャンブルには興味がないのですが、主人はテーブルでカードゲームを夜通し楽しむ人。結局は統計なんじゃない、と思っていたのですがディーラーのスキルがかかってくるのですね。むー、深いわ。
そうらしいです。ラスベガスのベネチアンと同じみたいですよ。このホテルカジノだけで15000人が働くという、大企業です。
いまだにギャンブルの神髄はわかりません。奥が深すぎて、覗き込むだけで怖くなってしまいました。度胸の無い僕には一生それを知る事はできなそうです。