Nゲージ鉄道模型の 機関車の牽引力を測定しました。
やってみないと分からない 意外な発見もありましたので、考察にまとめてみました。
『 牽引力 』 奥が深いです。
ばねハカリを横置きし、フックを引いて 重量を読み取る方式にしました。 ここに表れてくる数値がどれだけ信頼性があるかは不明ですが、
目安 としては有効です。
身近にある物で測定するには、この方法がベストと考えます。
使用したのは
( 株 ) 三光精衡所 製の
100g手秤 です。 金属製のフックが重いので、外して使います。
ハカリの本体を水平に設置。 ばねとフックの重量を支えるため、レールと台車に載せました。
ばねとフックの重量分を 0gに補正するので、補正つまみをいっぱいに回します。 それでも足りず、ばねを更に緩め、かろうじて本体とつながっている程度になっています。 許容範囲外の使い方なので、メーカーの人に知られたら 怒られそうです。
2~300g用の秤が入手できれていれば、問題なかったのかも知れません。
最初、500g用の秤を使ったら、針の動きが小さくて使えませんでした。 つまり、これが
2号器 です・・・。
リード線で作った連結棒で フックと車両をつなぎました。
測定するのは
水平状態 と
2%勾配、
4%勾配 の3点です。
市販の線路と橋脚を使って坂道を作った場合、4%程度の勾配になります。
連結棒として使ったリード線の線径が太かったため、小さなナックルカプラーでは 着かない車両がありました。 アーノルドカプラー付きの貨車を挟んで計測しても、牽引力の数値に変動が無い事を確認しておきます。
注記の
EF58上越型ブルー の動輪の軸配置は
C-C ですが、その内の2軸は遊輪なので
B-1-1-B と表示しました。
車両によって牽引力に大きな差があるのが分かります。
EF65レインボー と
EF66 は自重も全長もほぼ同規模ですが、牽引力が2倍も違います。 その原因は
トラクションタイヤ の位置にあります。
下図で説明していきます。
注記の
DE10 の実車の軸配置は
B-A-A-A ですが、模型では
B-C になっています。 さらに、この内の1軸が遊輪なので
B-1-B と表示しました。
SD70ACe はアメリカ型のディーゼル機関車です。 多重連での運転を想定している為か、トラクションタイヤは着いていません。 そのため牽引力は極めて低いです。
今回の試験で使用した車両は ここ数年の内に入手したものばかりです。 ですが、トラクションタイヤの劣化などにより、本来の実力を再現できなかった車両もあったかと思います。 ご了承ください。
EF65、
EF66、
EF210 は共に 中間台車を持ったF級電機です。 自重も 90g程度で共通しています。 なのに、牽引力に大きな差が生じました。
EF64-1000 と
EF81 も同様です。
表中で赤塗りした車両のトラクションタイヤは 車両の外側に装着されています。 そして、青塗りした車両のトラクションタイヤは内側にありました。
トラクションタイヤの位置によって、牽引力が違うことが解ります。
トラクションタイヤを増やすと 集電用の車輪が少なくなってしまいます。 中間台車が無集電なので 増やすことが出来ません。
トラクションタイヤが台車の外側に着いている場合 :
一番後ろの動輪がトラクションタイヤのとき、グリップ力が高いです。 ただし、負荷が高くなると 台車がウイリーしようとします。 それを自重が押さえ付け、牽引力が生まれます。
トラクションタイヤは左右にあるわけでは無いので、台車が横に向き、脱線しそうになります。
トラクションタイヤが台車の内側に着いている場合 :
トラクションタイヤの位置が悪く、スリップします。 自重の軽い車両なら なおさらです。
EF15、
EF57、
EF58、
EF62 は3軸台車です。
EF15 と
EF57 は自重が少ないので、12輪すべてが駆動輪です。 トラクションタイヤは4輪もありますが、集電用の車輪は8個もあり、集電に問題ありません。
トラクションタイヤが左右にあるので、台車は横に振れにくいです。
また、
3軸台車は浮き上がりしにくく、自重の軽い車両には理想的と言えます。
EH500 は 1端側の車両にトラクションタイヤがあります。 2端側を前にすると 牽引力が上がります。
負荷がかかると台車が横に振れ、浮き上がってきます。 牽引力の測定は 脱線するギリギリの状態で値を読んでいます。
圧倒的な牽引力を誇りますが、過度な負荷は トラクションタイヤの破損につながります。
DE10 はトラクションタイヤが微妙な位置にあり、自重も少ないので、牽引力に期待はできません。 ただ、数量の貨車や客車を牽くだけであれば、問題ないと思います。
今回の実験で、トラクションタイヤの位置と自重が、牽引力に大きく影響することが分かりました。
魚釣りで使う鉛板を天井に詰め込んで、重量を増やすのも有効な手立てです。
過度な負荷を与えることは、硬質プラスチックのギアを破損させたり、モーターが焼けたりの原因になります。
なので、トラクションタイヤが外れたり、ちぎれたりするのは、重大な損傷から保護しているとも考えられます。
車両の取り扱いや改造等の参考にして頂ければと思います。。。