星まつりの夜
< 史上最大級の ヘールボップ彗星。 晴れた日は、残業もしないで 撮影ポイントに直行です。 ヘールボップ彗星が見えていた頃、連日の晴天でした >
ある冬の夜、いつものように 星空にカメラを向けていると、一台の乗用車が 通りかかりました。 軽く会釈を交わすと、「 この先にログハウスがあるから、暖まっていきなよ。 コーヒーくらいご馳走するよ 」。
そう言って、去っていきました。
山あいの畑の奥に そのような建物があるとは 想像もできませんでしたが、撮影を一段落させて、出掛けてみました。 建物には、世代に何の脈絡も感じさせない数人が つどっています。
「 この辺は何も楽しむ所が無いからね、せめて週末くらいは、日常から離れて ここで過ごしてるんだよ 」。
見よう見まねで作ったという本格的なログハウス。 水道はあるけど、電気は無い。 そのかわり、ランプの明かりが 雰囲気たっぷりです。
コーヒーを戴いて、ストーブで暖まって、おしゃべりに耳を傾けて、ゆったりとした時間が 流れていきました。
帰り道、私は星を見上げながら、ふと 「 こういう楽しみ方、こういう生き方も アリなんだなー 」 と、改めて 感じさせられました。 そして、彼らの心の豊かさに、ちょっぴり羨ましく思ったりして。
なんだかさっきより、星のきらめきが 強くなったように感じるのは、気のせいでしょうか。
いつしか頭上には、しし座が高く駆け昇り、やがて新しい朝が 訪れようとしています。
平凡な日常が、にわかに ざわめき立つ想いでした。
< しし座流星群。 露出時間1分半。 この中に、少なくとも 7つの流れ星が見えています。 願い事が いくらでも叶えられそうな、星まつりの夜 >
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