内山峠 物見山付近より 鹿岳 ( かなだけ )
< OM-3 300mm F22 1/125sec RDP >
「 私たちは、この雲の中を歩いていたのね 」
以前 この写真を、登山口近くにあった 南牧村の 「 山の美術館 」 に展示させて頂いた事があった。 そのときに、学芸員の方に教えていただいた話である。
濃い霧に見舞われ、景色を何も見ることが出来なかった 登山グループの一人が、この写真を見ながら 「 私たちは、この雲の中を歩いていたのね 」 と、語ったという。
群馬県の南西部、「 西上州 」 と呼ばれる山域には、妙義山や荒船山など、特徴ある山々がひしめき合う。 その中、異彩を放つのが、この 「 鹿岳 ( かなだけ ) 」。 どの方角から見ても、すぐにこの山だと分かってしまう、2こぶラクダの双耳峰。
南峰と本峰から成り、標高は1015m。 決して高い山ではない。
南牧村の県道から 黒滝山不動寺の看板をたどり、塩沢の集落に入るころ、正面に切り立った岩峰が見えてくる。 「 まさか あんな険しい岩山には、人は登れないだろう 」。 誰もがそう思わされる景観に出合う。 これが、鹿岳である。
初めてこの地を訪れたとき、わたしは車を運転しながら、体が震えていたのを覚えている。
紅葉の鹿岳は独特の表情を持つ。 その昔、猟師に追われた鹿たちが、ガケを飛び降りていった。 命を落とす鹿の鮮血が飛び散ったような、印象的な紅葉である。
あるとき、わたしは霧の中を歩いていた。 湿度が高く、すぐに汗まみれになった。 どこに山頂があるのかも分からなかった。 いったい、自分はどこにいるのだろう。 ただひたすら高みを目指し、さまよい歩いていた。
あらためて この写真を見たとき、はじめて社会に出た頃のことを思い出した。 右も左もわからず、ただ ガムシャラに歩いていた頃の 私たちの姿が、この雲の中にあるような錯覚を覚えた。
「 私たちは、この雲の中を歩いていたのね 」 と。。。
< 無断転載を 禁止します >
< OM-3 300mm F22 1/125sec RDP >
「 私たちは、この雲の中を歩いていたのね 」
以前 この写真を、登山口近くにあった 南牧村の 「 山の美術館 」 に展示させて頂いた事があった。 そのときに、学芸員の方に教えていただいた話である。
濃い霧に見舞われ、景色を何も見ることが出来なかった 登山グループの一人が、この写真を見ながら 「 私たちは、この雲の中を歩いていたのね 」 と、語ったという。
群馬県の南西部、「 西上州 」 と呼ばれる山域には、妙義山や荒船山など、特徴ある山々がひしめき合う。 その中、異彩を放つのが、この 「 鹿岳 ( かなだけ ) 」。 どの方角から見ても、すぐにこの山だと分かってしまう、2こぶラクダの双耳峰。
南峰と本峰から成り、標高は1015m。 決して高い山ではない。
南牧村の県道から 黒滝山不動寺の看板をたどり、塩沢の集落に入るころ、正面に切り立った岩峰が見えてくる。 「 まさか あんな険しい岩山には、人は登れないだろう 」。 誰もがそう思わされる景観に出合う。 これが、鹿岳である。
初めてこの地を訪れたとき、わたしは車を運転しながら、体が震えていたのを覚えている。
紅葉の鹿岳は独特の表情を持つ。 その昔、猟師に追われた鹿たちが、ガケを飛び降りていった。 命を落とす鹿の鮮血が飛び散ったような、印象的な紅葉である。
あるとき、わたしは霧の中を歩いていた。 湿度が高く、すぐに汗まみれになった。 どこに山頂があるのかも分からなかった。 いったい、自分はどこにいるのだろう。 ただひたすら高みを目指し、さまよい歩いていた。
あらためて この写真を見たとき、はじめて社会に出た頃のことを思い出した。 右も左もわからず、ただ ガムシャラに歩いていた頃の 私たちの姿が、この雲の中にあるような錯覚を覚えた。
「 私たちは、この雲の中を歩いていたのね 」 と。。。
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