知人の強い勧めがあって、池袋の「新文芸座」なる場末の映画館に行く。
お目当ては”川島雄三監督特集”、でこれから毎日2本立て興行、本日は「人も歩けば」 と「特急にっぽん」。
どちらも古き良き邦画それも喜劇、わざわざ電車賃¥1000と往復2時間も掛けたけど、良いものを見た。
「人も歩けば」
昭和60年代初頭、まだ東京オリンピックは4年後のことである。
ちょうど日本が戦後から]復興し始めた頃の日本(東京)の風景が今見るととても新鮮。
ドタバタ具合も程良くて、ともかく楽しめる映画だった。 少し中だるみ傾向があるが最後のオチは秀逸。
「特急にっぽん」
電車を舞台にして面白かったのは「天国と地獄」 、でもこちらは喜劇かつ群像劇(典型的なグランドホテル形式)で走る”特急こだま号”を十二分に堪能させてくれる。 是非、テっちゃん族に見てもらいたい。
まだ新幹線は存在してなくて、”特急こだま”が最上級だった頃の話、乗務員もかなり高級職員だったんだろうと思う。
さて、この映画はカメラワークがすごく良くて、狭い電車の中をカメラが縦横無尽に動き回る、見事と言うしか無い。(あるいはセット撮影か?)
最初から最後までテンポ良く、これは傑作映画だと思う。
喜劇と言えば「寅さんシリーズ」が日本喜劇映画の代表作の様に言われ、そこそこの人気も有る、でも実はあまり好きではない。
ワンパターンと言うのも有るが、この映画を見ていると主人公の愚かさを笑う”上から目線”の自分に気が付いて後味の悪い思いをする。
こんなのが身内に居なくて良かったと安堵する”人の不幸は蜜の味”みたいな後味である。それ故に「寅さんシリーズ」は"喜劇"と言うよりも"悲劇"として見てしまう。
そこで川島雄三監督の映画、少々風刺の効いた紛れもない喜劇だと思う、それが気に入った。
この池袋の新文芸座、毎日でも通いたいが残念ながら時間が無い。
とりわけ「幕末太陽傳」 は是非とも見たいが、上映日7/5(日曜)は時間が取れない、悔しいけど仕方ない。
こうなりゃ名画座系に再度掛るのを根気良く待つか。
映画『幕末太陽傳』予告編