これは、と思って見に行った「アイヒマン・ショー」、知っている役者はいないが地味で実に良い映画だった。
ドキュメンタリー・フィルムと被らせて本編のドラマが進行し、まるでドキュメンタリーの様な錯覚を覚えた。
まぁあれだけ悲惨なホロコーストの画面を本編にまじえたらドキュメンタリー風になるのも無理は無い。
この映画の前半はアイヒマン裁判の放映を何とか実現しようとする苦労を、後半は証人の発言やらアイヒマンの表情とかで裁判の進行と放送スタッフの心境の変化等を描いてグイグイと引っ張って行く。
(こんな話)
1960年、ユダヤ人絶滅計画を推し進めたナチ親衛隊の将校アドルフ・アイヒマンが逃亡先のアルゼンチンでイスラエル諜報機関により拘束される。その後、彼はイスラエルへ移送され、エルサレムの法廷で裁かれることに。アメリカの若き敏腕プロデューサー、ミルトン・フルックマンはこの裁判のTV放映権を獲得、監督に赤狩りで職を失っていた米国人ドキュメンタリー監督レオ・フルヴィッツを起用するなど一流のスタッフを編成し、万全の体制で本番に臨もうと意気込む。そんな彼らの前には、思いも寄らぬ数々の困難が待ち受けていたのだが…。
アイヒマンが普通の人であることを何とか見出そうとする監督と、ショー(見世物)として受けを狙うプロヂューサの葛藤も面白い。
こんな映画は単館上映こそが相応しい、そしてこの内容ではテレビ放映は先ず望めない。
マーティン・フリーマン主演映画『アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち』予告編