久々に映画館に足を運んで「首」を見て来た、と言っても最近話題のでは無くて、1968年版の脚本:橋本忍、監督:森谷司郎、主演:小林圭樹と言う錚々たる映画。でもスクリーンは4:3のスタンダード・サイズでモノクロと言った具合でこの時代には珍しい。当時の映画は総天然色シネスコが常識だった様に記憶しているので。
結構地味な造りで、小林圭樹の熱演が継続して物語りが進むが、やはり脚本家と監督が一流なだけに結構手に汗握る展開で時間を感じることがなかった。
この映画で一番関心したのは、昭和18年の1月に起きた冤罪拷問死事件を一人の弁護士が地道に真相を追求するという、あの当時の我が国が未だ法治国家の体をなしていたこと。
〔内容〕
昭和18年1月に茨城の村の炭鉱夫が留置中に脳溢血で死ぬという事件が起き、不審に思った炭鉱の経営者がツテを頼って正木弁護士に調査を依頼することとなった。 これを受けた弁護士は検死が為されていないことや周りの証言から不信感を抱き調査を進めることとした。
しかしながら検察側は先手を打って事前にお手盛り検死で済まして「脳溢血死」と断定、窮地に陥った弁護士及び依頼人は究極の選択として死体から、、、、
埋葬地を暴くシーンとか検死のシーンとか結構な緊張感があって、サスペンスとしてみてもとても良い映画だと感じたが、これは大衆受けは難しいだろうと思う(当方は橋本忍と森谷司郎の名前で目がくらんでしまうが)。そして今後は、邦画で「首」といったら北野監督作品になるだろうとも。
なお本日の当該映画館のプログラムではこの1968年版「首」の次に2023年版の「首」を上映している、ここは時々こういう言葉遊びの様なプログラムを組むので面白い。
やはり古い映画を”映画館”でみるのは楽しい。
次は「サンタビットリアの秘密」、その昔TV放映で観てかなり気に入った作品で「ナチスに占領されたイタリアの村人の秘密とは」なんてコピーがあった。
(スタンリー・クレイマー監督だから是非ともみなきゃ)