「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

震災余話

2011年05月01日 21時09分46秒 | 東日本大震災
 
○ 被災から ちょうど四十九日の日に、 娘 (小学生) の遺体が 見つかりました。

 顔はもう分かりませんが、 左足にミサンガをしていたのが 証になります。

 遺体と対面した時、 両親の口から出てきた言葉は  「悲しい」 ではなく、

 「よかった」 「嬉しい」 でした。

 母親は涙を流しながらも、 娘が帰って来られて良かった という気持ちなのです。

 父親には笑顔さえ見えました。

○ 洗いたてのセーターや肌着が、 春の光にたなびいています。

 けれども、 持ち主が袖に腕を通すことは 二度とありません。

 宮城県警が、 身元不明の遺体が 身に付けていた衣服を 洗濯し続けています。

 名前や服の模様など、 手がかりを見つけるためです。

 服の写真を公開し、 情報提供を呼びかけています。

○ 避難所で、 今まで聞かれなかった声が 出てきています。

 「他の人が取った残り物しか、 物資が届かない」

 「よその地区の人が 食べ物を取りに来るのは おかしい」

 当初は出なかった不満が、 ささいなことをきっかけに 噴き出します。

 お互いが助け合う 避難生活が長期化し、

 気が張っている状態が 限界を超えるのです。

 これから より心配なのは、

 仮設に入る人と 避難所に残る人に 別れる時期だといいます。

 高齢者の見守りや、 精神的なケアに 本腰を入れなければ、

 被災者の心が ばらばらになってしまいます。

○ 南三陸町で、 高台に土地を持つ 住民から、

 無償の土地提供の申し出が 相次いでいます。

 高台の公有地が少なく、 仮設住宅の用地確保が 難航しているためです。

 申し出は約30件。

 支え合う気持ちが 住民を動かしているのです。

○ 避難所の高齢者に、  「生活不活発病 (廃用性症候群)」 が増えています。

 体を動かさないために、 全身の機能が 低下する症状です。

 自宅では 伝い歩きができた高齢者が、

 避難所では家具や手すりがなく 歩かなくなります。

 筋肉が弱るだけでなく、 心肺機能が衰え、 精神面でも うつ状態になったりします。

 地震で何もかも失い、 家の片づけや 想い出の品を取りに行こうという 動機も、

 持てないでいる人が多いといいます。

 本人はもちろん 家族のためにも、 要介護にならないよう、

 活動的にする工夫が必要です。

〔 朝日新聞, 日本テレビ 「ニュースZERO」 より 〕
 
コメント
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