「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

想定内でゲストを守った、東京ディズニーリゾート(3)

2011年05月11日 20時02分58秒 | 東日本大震災
 
(前の記事からの続き)

 園内に残された 帰宅困難者は2万人、

 復旧しない鉄道に 心細さが募り、 園内から追い出されるという デマも流れました。

 不安を抱えるゲストたちが 安全な屋内施設に 誘導され始めたのは、

 午後6時を回ったころです。

 しかし まだ多くのゲストが 屋外に残され、

 気温4度の下、 ブルーシートにくるまれて 寒さをしのいでいました。

 ディズニーリゾートは、

 安全確認がされた ディズニーシーの方へ 客を誘導することを決めました。

 ただし それには、 液状化の被害を受けた 危険な道路を、

 延々と歩いていかなければなりません。

 そのとき 統括本部が下した決断は、

 ディズニーリゾート28年の歴史を 覆すものでした。

 従業員専用通路を通って、 ディズニーシー側に 移動してもらうことにしたのです。

 それは、 “夢の王国” を支える舞台裏を さらけ出してしまうことになり、

 本来は 一切見せない場所です。

 守るべきは前例ではなく、 ゲストの安全なのです。

 全ての客が 屋内に避難したのは、 日付が変わってからでした。

 しかし 客から不安が消えることはありません。

 そんなときに配られたのは、

 ディズニーには少々不似合いな、 大豆ひじきご飯でした。

 ディズニーリゾートでは、

 非常時に 約5万人が3~4日過ごせる 食料を備蓄していました。

 その中から、 お湯をかけるだけで食べられる、

 温かい大豆ひじきご飯が 提供されました。

 さらに 、刻一刻と変化する 交通情報を張り出し続けました。

 最新の情報が 更新されることで、 人々の不安は ひとつずつ消えていきます。

 こうして 落ち着きを取り戻したパークは、 夜明けを向かえました。

 客たちは、 最後まで笑顔だった スタッフに見送られ、 家路に着いていったのです。

〔 フジテレビ 「Mr. サンデー」 より 〕
 
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