「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

承認は その人の内的体験の一部を 本物と認める

2015年10月15日 20時33分47秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 私たちは 「自己構成概念」 を持っています。
 
 自分は何者であるか, 人生でどこに向かっているか,
 
 何が自分にとって難しいか, 何が簡単か、 などです。
 
 BPの自己構成概念は 多くの場合、 制御不能, 感情的苦痛を経験する,
 
 人ができることができない, 自分が何者かという感覚がない、 というものです。
 
 自己構成概念がネガティブでも、 それを承認してほしいというのが 人の本性です。
 
 自己構成概念は 真実や現実とは違います。
 
 BPが 自分は無価値で愛されるに値しない というアイデンティティを持っていて、
 
 あなたが そんなことはないと伝えると、
 
 その人は もっと感情的になるかもしれません。
 
 BPは、 その人への対応が、 その人の持っている感覚と一致する人に、
 
 引かれるのです。
 
 これは、 どちらに転んでも勝ち目のない 不合理な状態を作り出します。
 
 「承認」 は 「同意」 とは異なります。 (同じにもなり得ますが。)
 
 承認は、 相手の中に
 
 理解可能な行動 (思考, 感覚, 行為を含む) を発見して、 伝えることです。
 
 必ずしも同意しなくてもよく、
 
 「理解可能だと思う」 と 正直に言いさえすればよいのです。
 
 承認できないことを 承認することはありません。

 あなたは、 BPの  「無価値で愛されるに値しない」 という自己構成概念に
 
 同意できないでしょうが、 それはその人の現実なのです。
 
 でもあなたは、 次のように言うことができます。
 
  「人生の失敗のせいで、 自分に対する感じ方が 悪くなっしまったのは分かるよ。
 
 でも僕は君について、 こういうことを知っているよ」
 
 その人が基本的には きちんとした人間であることや、
 
 誰もが 愛を受ける価値があることなど、
 
 あなたは 本当に言いたいことを言えるのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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承認は 感情の強度を減らす

2015年10月14日 20時52分39秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 承認は、 BPとの どのような関わり合いの中でも 使用でき、
 
 感情を 対処可能なレベルにまで下げ、
 
 あなた方の交わりを より実り多いものにします。
 
 承認は あらゆる有益な反応の、 正に中核にあるものです。
 
 何か不当な目に遭ったとき、 家族にそのことを話すとします。
 
 家族が  「言ってることはよく分かる」  などという反応を得たら、
 
 自分の感情が 少し落ち着くのではないでしょうか。
 
 しかし相手の人が、  「そんなふうに感じるべきではない」  と言ったら、
 
 あなたの感情は高まり、 相手の話を聴く能力は 低下してしまうでしょう。
 
 承認は 感情を落ち着かせるのに役立ち、
 
 BPにとってだけでなく、 誰にとっても 感情を扱いやすいものにします。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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花屋さんはまだ しばらくいる

2015年10月13日 21時06分41秒 | Weblog
 
 今日、 心子の墓参りに行ってきました。
 
 花屋のNさんはまだいます。  (^^)
 
(参考: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/64821450.html )
 
 花屋の入っているビルとの 契約の形式や、
 
 後継の買い手がなかなかいない などの問題で、
 
 今年中くらいは今のまま 花屋は続いていくということです。
 
 でも数ヶ月先は、 どうなるか全く 見通しが付かないとのこと。
 
 駅の再開発で 5年後は今のビルもなくなるかもしれないし、
 
 花屋もなくなるかもしれない。
 
 また、 Nさんの家庭の事情もあり、 数年先も見通しが付かないそうです。
 
 σ(・_・;)  としては、 どういう状態でも、
 
 できるだけ長く Nさんがいるのを願うばかりですが。
 
 今日はお客さんが少なく、 1時間以上も話し込んでしまいました。  (^^;)
 
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承認の隠されたパワー

2015年10月12日 20時36分05秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 反応は重要です -- 時として、 私たちが思うよりずっと
 
 人の行動には、 強化, 消去, 罰の原理があります。
 
 あなたが 愛する人に親切にして、 その人がネガティブな反応をすれば、
 
 あなたは親切にするのを 思い止まるようになるでしょう。(罰)
 
 その人が あなたの親切を無視すれば、
 
 あなたは助けるのをやめるでしょう。(消去)
 
 その人があなたに感謝すれば、 あなたは親切を続けるでしょう。(強化)
 
 私たちは人に対処するとき、 自分の反応に 本気で注意を払わなければなりません。
 
 BP (BPDの人) の感情的反応が、 私たちに
 
 落胆, 怒り, 諦めなどの感情 (罰) を 抱かせるものになり得るのです。
 
 最善の方法は、 感情の一部を緩和することです。
 
 私たち自身の感情を調整しながら、 BPが感情を静められるように 力を貸します。
 
 BPが制御不能になると、
 
 言語的攻撃か身体的攻撃を加え、 自分自身やあなたに害を与えるでしょう。
 
 あるいは、 その場を去るか、 解離して引きこもってしまうでしょう。
 
 BPの感情は、 私たちは更なる感情を引き起し、 予測不能です。
 
 BPについて考えてみてください。
 
 BPの感情を 書き留めるとよいかもしれません。
 
 次に例を挙げます。
 
1. BPは私の反応で傷ついてしまう。
 
   私は助けていると考え、 彼女は私が批判していると考える。
 
2. 彼女は大丈夫そうに去り、
 
   あとに電話をしてきて、 事実と違うことで 私を非難する。
 
3. 私が何かを見落とすと、 私が彼女を大切に思っていないと考えて 落胆する。
 
4. 私がどんなに 事態を良くしようとしても、 何週間も怒り続ける。
 
5. 私の反応を、
 
   彼女は自分が  「愚か, 無価値, 悪人」 だという 意味に解釈する。
 
 もし 感情を和らげる方法がなかったら、
 
 喧嘩になるか、 関係を放棄してしまうかもしれません。
 
(次の日記に続く)
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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生物社会学的理論からのガイドライン (2)

2015年10月11日 20時09分51秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
(前の記事からの続き)
 
 BPが あなたの助けを受け入れられず、 何も提案できない場合は どうでしょう?
 
 可能であれば そのままにしておきましょう。
 
 感情的リアクションは やがて終わりになるでしょう。
 
 あなたができるのは、
 
 忘れるべきだ, 過剰反応しているなどと、 非承認を行なわないことだけです。
 
 BPの内的経験について質問し、 価値判断したりせずに、 その答を聞くのです。
 
・ 変化はBPにとって 苦痛だと知る
 
 BPDの強烈な感情は、 重症の火傷を負っているようなものです。
 
 火傷患者には、 治療こそが 最大の苦痛にほかなりません。
 
 弁証法的行動療法は、
 
 苦痛を緩和する手段 (薬物, 自傷など) を 断念するよう求めます。
 
 その代わり、 感情調整の技能を授けますが、
 
 その長い道のりで 多くの苦痛を経験しなればなりません。
 
 弁証法的行動療法には、 多くの健全な気晴らしの方法と、
 
 有害な衝動的行動を阻止する 多くの選択肢があります。 (後述)
 
《おさらい》
 
 感情調整には 次の4つが必要です。
 
1. 感情を引き起こしているものと 関係がないことをする。
 
2. 身体を調整して、 感情の覚醒度をダウン、 またはアップさせる。
 
3. 感情に流されない。
 
4. 感情とは独立した目標を持ち、 それに焦点を当てられるようにする。
 
 生物社会学的理論を包含した 提案があります。
 
1. 査定する: 何が起きたのか質問する。
 
2. 積極的に耳を傾ける:
 
   論駁したり、 価値判断したり、 過剰反応している言わない。
 
3. 承認する: BPの理解可能なもの,共感できるものを見つけ、 それを言う。
 
4. 問題を解決するためでなく、 その瞬間を乗り切るために、 力になれるか問う。
 
5. BPがノーと言えば、 そっとしておき、 感情は長く続くことを思い出す。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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生物社会学的理論からのガイドライン (1)

2015年10月10日 20時40分55秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BPDは 先天的な感情特性に加えて、 非承認的な環境によってつくりあげられます。
 
 以下に、 最善の治療法と、 BPと関わる 有益な方法を記します。
 
・ その人が感じている気持ちから、 言葉の力で脱出させようとしない。
 
 BPが過剰反応しているとか、 動揺すべきでないと言わないようにします。
 
 なだめることは事態を悪化させるだけです。
 
・ BPの感情的な 「壊れやすさ」 を抱擁するため、 あなたの世界を作り直さない。
 
 BPの感情に、 あなたは疲れ、 恐れ、
 
 BPを動揺させないようにするのは やめましょう。
 
 BPは この世界で生きていく方法を 学ばなければなりません。
 
 あなた自分自身の感情をケアするため、
 
 BPの感情が冷める間、 距離を置くことも必要です。
 
・ BPの感情調整の課題を理解する。
 
 感情調整するために、 私たちは次のことが必要です。
 
1. 注意の方向を変える。
 
   気を紛らわす。
 
2. 覚醒度が増した場合 (怒り, 恐れ, うんざり) は、 それを低減させる。
 
   覚醒度が減った場合 (悲しみ, 恥) には、 増加させる。
 
3. 感情と気分が命じる 行動を取らない。
 
   気分に従うことは  「気分依存行動」 と呼ばれ、 気分が主体になっています。
 
4. 感情とは独立した、 目標ある人生を過ごす。
 
   厳しい状況でも、 向かっていける目標を持つ。
 
 次に、 BPが感情的になっているとき、 どのように対処できるか、
 
 試してみましょう。
 
1. 何が起きたのか質問して、
 
   論駁したり、 価値判断したりせず、 耳を傾けましょう。
 
2. その人の 認められる点を探しましょう。
 
   感情的になるのはもっともだと 認めてあげましょう。
 
3. 気晴らしをして力になれるか 尋ねましょう。
 
   起きたことを蒸し返すべきではありません。
 
   BPの神経をなだめるために、
 
  (言葉ではなく) 温かいお風呂に入る, 音楽を聴くなど 手伝うことができます。
 
   感情を行動化しないよう、 力を貸すこともできます。
 
(次の記事に続く)
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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非承認的な環境のタイプ (3)

2015年10月09日 21時30分13秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 不在の親
 
 非承認的な環境は、 親が不在という 環境であるかもしれません。
 
 子供は 行動のモデルを示す大人が 周囲にいないと、
 
 感情の調整を学ぶことができません。
 
 あるクライアントは、
 
 幼少時に 弟が難病を発症し、 親は弟の病院につきっきりでした。
 
 敏感だった彼女は、 自分が病人ほど重要ではない と学びました。
 
 無数の感情の全てを どうすべきか教えてもらえなかったのです。
 
○ 他の虐待と犯罪行動
 
 他には、 身体的・心理的虐待,
 
 親が物質乱用や犯罪行為をする 環境が挙げられます。
 
 しばしば家族メンバーが、
 
 「泣くのはやめろ」 などと 子供の経験を罰したり、 軽視したりします。
 
 涙は悲しみの生理的表現ですが、 大人が その悲しみに正当な理由はない と伝え、
 
 子供の内的経験は否定されます。
 
 子供は 自分の感情的経験は信頼できない, 間違っているのだと学ぶのです。
 
 その影響で、 子供はもっと感情的になります。
 
 そして、 自分の感情が分からず、 封鎖しようとするか、
 
 自分の感情に 良い悪いという 価値判断を下す人へと 成長するのです。
 
○ 感情的に敏感な子供は 環境にも影響を与える
 
 感情的に敏感な子供は 辛いものであり、 その子どもの家族も 辛いものです。
 
 子供の過敏な感情レベルも 環境に影響するのです。
 
 子供は気持ちを理解されようと どんどん声高に泣きわめくか、
 
 感情を抑制するか、 どちらかです。
 
 前者の場合、 子供は 感情的反応をエスカレートさせると、
 
 欲しいものが手に入るという 強化を受けることになるでしょう。
 
 子供とその環境は 時間をかけて発達していきます。
 
 環境は感情に反応し、 感情は環境を変えます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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非承認的な環境のタイプ (2)

2015年10月08日 20時28分09秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 「でっちあげているんでしょう」
 
 子供の行動が受け入れ不可能, あるいは
 
  「狂気」 と見なされてしまうこともあります。
 
 このような子は、 感情の激しさを理由に 非難されます。
 
 その子は 感情をどうしたらよいのか学習することなく、
 
 自分は感情があるゆえに  「悪い子」 なのだと学んでしまいます。
 
 その子は、 もっと感情的になって 制御不能になってしまうか、
 
 感情を過度にコントロールして 封鎖してしまうようになります。
 
 これは、 「解離」、 つまり 感情を切り離すことに繋がるかもしれません。
 
 あるいは、 感情を抑え続け、 結局は 爆発する事態になるかもしれません。
 
 自傷的なでき事 (切る,自殺企図) か、 怒りの大爆発です。
 
○ 性的虐待
 
 最も非承認的な環境は、 性的に虐待される環境です。
 
 子供が直感的に 正しくないと知っている方法で、 大人が子供を扱い、
 
 これは秘密だと言ったり、 脅しさえもあります。
 
 子供は反応を押し殺し始め、 自分自身の経験を否定し始めます。
 
 BPの40~75%が 子供のときに性的虐待を受け、
 
 25~75%が身体的虐待を受けています。
 
 さらにひどい痛手を与えるのは、
 
 誰かに虐待の話をして 無視されるか、 でっち上げだと非難されることです。
 
 嘘つきだ, 家族を壊そうとしていると 非難されます。
 
 結果として さらなる非承認が起きます。
 
 話しても 信じてもらえないだろうと認識すると、 大打撃は完成します。
 
 このあとに 多くの人が自殺を試みます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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非承認的な環境のタイプ (1)

2015年10月07日 19時52分45秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 「良い調和」 がないところ
 
 時として、
 
 極度に感情的に過敏な子供が、 感情レベルの低い人たちの 家族に生まれます。
 
 親は 自分の感情の調整は巧みでも、
 
 子供が感情的過敏さに対処する 方法を示すことができません。
 
 ただ、 そのような子に驚愕し、 困惑してしまうのです。
 
 BPは 外的に自分自身を調整し、 他人に依存します。
 
 BPの多くが、 共感的な人と恋に落ちます。
 
 ただし、 非承認的な環境は、
 
 親が子供を破壊しようとして 作ったものではないのです。
 
 ほとんど分からないうちに、 BPの家族は 子供の経験を否定してしまいます。
 
 あるBPは、 周りの人々から、 したくないことをするように強制されていました。
 
 誰も自分に耳を貸さない, 自分が望むことは否定される,
 
 自分は自分で決断を下す能力がない、 という経験を重ねていきます。
 
 そのため、 自分が嫌っている 関係と仕事に留まっていて、
 
 絶望して自殺を考えるようになったのです。
 
○ 「泣くところを 決して見せてはいけない」
 
 人々が 多くの感情を許すのが難しく、 感情を封じようとする 環境が存在します。
 
 多分 そのような環境における親は、
 
 感情を表に出すのは 下品だと考えるように 育てられたのです。
 
 例えば、 子供が テストで悪い点を取って 動揺しているのに、
 
 「メソメソするのはやめなさい」 と言われると、
 
 子供の振る舞いが理解される コミュニケーションがありません。
 
 「メソメソしない」 ということは、
 
 ほとんど ある種の魔法の道具のように 思われてしまいます。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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非承認的な環境

2015年10月06日 20時13分39秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 感情的脆弱性が BPDの第一の材料です。
 
 ふたつ目の材料は、 非承認的な環境であり、
 
 時間が このふたつの材料を引き合わせます。
 
 ただし、 あなたの家族や親族が BPDをもったとしても、
 
 それはあなたの責任ではありません。
 
 非承認的な環境というのは 色々なものがあり得るのです。
 
 非承認的な環境とは、 子供が必要とする形で 子供に反応しない環境です。
 
 非承認とは、 子供の経験を否定しようとするものです。
 
 子供の言動を、 不正確, 非現実的, 取るに足らない, 病的だなどと扱うのが、
 
 非承認的なメッセージです。
 
 非承認は 子供の経験に矛盾するものです。
 
 環境が非承認的なものとなるのは、
 
 非承認的なメッセージが蔓延し、 何度も何度も繰り返される場合です。
 
 親は、 ひどい, 虐待的な, 感受性のない人間でなくても、
 
 子供に善意しか持っていなくても、 非承認的な環境を作ってしまいます。
 
 感情的に脆弱な子供が、 何を必要としているか 分からないだけなのです。
 
 子供が 感情的に過敏に反応することと、
 
 子供の感情が 長引くことを理解しなかったので、
 
 子供が感情調節を学ぶのに 力を貸せなかったのです。
 
 家庭が 子供の環境の大きな部分を形成しますが、
 
 非承認的な学校が 強く影響することもあります。
 
 感情をコントロールすべきだとする 社会全体が、
 
 感情的な子供に、 非承認的メッセージを与え続けることもあります。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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感情の回復の遅さ

2015年10月05日 20時42分46秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ ベースラインへの回帰の遅さ: 長居しすぎる感情たち
 
 BPは物理的に、 感情が脳内で 長く燃えさかるのです。
 
 その感情が収まる前に 別の感情が発火し、 第二の感情も さらに長く留まります。
 
 その人は動揺したまま振る舞い、 他人を動揺させることを言います。
 
 あなたのリアクションは ほとんど全て、 BPの感情を 頂点に戻してしまいます。
 
 時々功を奏するのは、 リアクションを先延ばしして、
 
 BPの 高ぶった感情を静めるための 時間を与えることです。
 
 何を言おうとも ますます怒るばかりだったBPが、
 
 あなたがただ黙り込んだ時に やっと感情が収まることがあります。
 
 怒りが長く続くときは、 感情を再発火させています。
 
 怒りを再燃させる方法は、 怒らせた人について考えることです。
 
 侮辱を蒸し返して、 また一から腹を立て直すのです。
 
○ 感情的脆弱性は痛みをもたらす
 
 極度に脆弱な感じを 理解するために、 行なっていただきたいことがあります。
 
 あなたが一番長い間、 最も感情的になっていたときを 思い出してください。
 
 複数の感情が 互いに積み重なるとき どのように感じたか、
 
 それを誰も理解してくれない という経験を思い出してください。
 
 これが、 BPの毎日の あらゆる瞬間の経験であることを、
 
 自分自身に伝えてください。
 
 時に、 BPは 感情を抑える方法を発見します。
 
 自傷, 自殺企図, 飲酒, 薬物, 過食, その他の問題となる行動は、
 
 感情を急速に静めて 安堵感をもたらす効果があるのです。
 
 従って このような行動をやめさせるのは 非常に難しいのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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感情の強さ

2015年10月04日 19時39分30秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ 感情的反応: 強度が桁外れ
 
 BPは 感情的に敏感なだけではなく、 人よりも強烈なリアクションをします。
 
 感情の強度は桁外れであり、 感情表現も桁外れです。
 
 あなたはBPが心配で 身動きが取れなくなります。
 
 感情的反応は、 自己耽溺でもなく、 操作しようという試みでもありません。
 
 BPは感情的な覚醒状態にあり、 小さいものにでも感情的反応をするということです。
 
 BPに対する 典型的な見方は、
 
 BPDの怒りは不当である -- 間違っている というものです。
 
 しかし、 怒りの感情を持つべきでない と期待するのは、
 
 誰に対してでも不公平です。
 
 問題は、 感情的リアクションの強度です。
 
 そのせいで 人との関係維持は とても困難になります。
 
 しかしながらあなたは、
 
 BPが故意に 配慮を失っているのではないと 思い出すことができます。
 
 BPの身になってみてください。
 
 感情のせいで失業し、 友人, 家族, 人生の目標を失いました。
 
 自分自身のことを 欠陥人間などと価値判断します。
 
 それは恥や罪悪感の原因となります。
 
 これらの二次的感情は耐えがたく、 この感情への恐怖が 別の感情 --
 
 あなたがBPを助けていない ということへの怒り -- を 発生させます。
 
 複数の感情のために、 泣き崩れたり、 立ち去ったり、
 
 自傷行為など 自暴自棄の試みに出るかもしれません。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
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感情の過敏さ

2015年10月03日 21時46分28秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
 BPDを形成するには、 ふたつの基本的材料と 時間が必要です。
 
 材料のひとつめは、 生まれつきのもので、 感情に対する脆弱性です。
 
 ふたつめは、 その人が成長した 非承認的な環境です。
 
 時間が この材料を引き合わせます。
 
 子供とその環境は、 時間をかけて発達していきます。
 
 環境 (子供の周りの人たち) は 子供の感情に反応し、
 
 感情は環境を変えるのです。
 
 感情と環境のリアクションの悪循環です。
 
 感情の脆弱性 (感情的であるということ) は、
 
 コントロールの欠如というより、 感情の変動をもたらす 3つの傾向です。
 
 感情の過敏さ, 感情の強さ, 感情の回復の遅さです。
 
○ 感情の過敏さ: 素早く引き金を引く指

 BPの感情の神経は むき出しの状態です。
 
 大半の人にとって ほとんど何の感情も引き起こさないことが、
 
 BPには 大いに感情を誘発します。
 
 ネガティブな感情 (恐怖, 悲しみ, 怒り, 恥, 罪悪感) であれ、
 
 ポジティブな感情 (喜び, 幸せ, 愛情) であれ、
 
 感情的なリアクションが起こるのです。
 
 彼らの感情の引き金に対して、
 
 あなた自身には 感情的リアクションは出てこないでしょう。
 
 そのため 引き金を特定することは 困難になります。
 
 BP自身も この過敏さに困惑しているのです。
 
 BPは 激しい感情に飲み込まれると、 何が感情をかき立てているか 分かりません。
 
 感情的になればなるほど、 さらなる感情がわき起こるのです。
 
 きっかけとなるものにリアクションし、
 
 そのリアクションにリアクションしてしまいます。
 
 あなたは、
 
 BPの感情的リアクションの 原因になりそうなことに 恐怖を感じるかもしれません。
 
 これが 二人の関係にストレスを与え、 関係を終わらせる可能性もあるのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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