私たちは 「自己構成概念」 を持っています。
自分は何者であるか, 人生でどこに向かっているか,
何が自分にとって難しいか, 何が簡単か、 などです。
BPの自己構成概念は 多くの場合、 制御不能, 感情的苦痛を経験する,
人ができることができない, 自分が何者かという感覚がない、 というものです。
自己構成概念がネガティブでも、 それを承認してほしいというのが 人の本性です。
自己構成概念は 真実や現実とは違います。
BPが 自分は無価値で愛されるに値しない というアイデンティティを持っていて、
あなたが そんなことはないと伝えると、
その人は もっと感情的になるかもしれません。
BPは、 その人への対応が、 その人の持っている感覚と一致する人に、
引かれるのです。
これは、 どちらに転んでも勝ち目のない 不合理な状態を作り出します。
「承認」 は 「同意」 とは異なります。 (同じにもなり得ますが。)
承認は、 相手の中に
理解可能な行動 (思考, 感覚, 行為を含む) を発見して、 伝えることです。
必ずしも同意しなくてもよく、
「理解可能だと思う」 と 正直に言いさえすればよいのです。
承認できないことを 承認することはありません。
あなたは、 BPの 「無価値で愛されるに値しない」 という自己構成概念に
同意できないでしょうが、 それはその人の現実なのです。
でもあなたは、 次のように言うことができます。
「人生の失敗のせいで、 自分に対する感じ方が 悪くなっしまったのは分かるよ。
でも僕は君について、 こういうことを知っているよ」
その人が基本的には きちんとした人間であることや、
誰もが 愛を受ける価値があることなど、
あなたは 本当に言いたいことを言えるのです。
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
(星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
[星和書店の許可のうえ掲載]