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なんじゃもんじゃ物語 1-4 なんじゃ王国作戦会議

2006-06-27 11:36:41 | なんじゃもんじゃ物語
なんじゃもんじゃ物語 1-4 なんじゃ王国作戦会議


なんじゃもんじゃ物語 16

(なんじゃ王国作戦会議)

 がやがやと言う騒がしい声や、鉄の金具がぶつかり合う音がだんだんと大きくなってきました。
ホイ大臣は、植木鉢のかけらを拾うのを止めて南の窓に走りました。
見ると召使を先頭に、鍋や釜を頭に被った島民たちが20人程かたまりになってやって来つつありました。

「 な、なんだ、こりゃ。」

 ホイ大臣は、半分泣きそうになりました。
鍋のふたの盾とすりこぎを見れば、誰でもそうならざるおえません。
しかし、兵士たちは違いました。
この前、招集をかけた時とは打って変わって真剣な顔付きで答えました。

「 われわれは、正々堂々と戦う事を誓います、ホイ大臣様。」

ホイ大臣は、島民たちを見直したのでありました。

「 それでは、作戦をたてる。
王宮の特別会議室へ行くぞ。
ついてまいれ。」

ホイ大臣と、21人の男はゾロゾロと王宮の絨毯を敷き詰めた床をどた靴で歩いて行きました。
 真ん中に丸い大きなテーブルがでんと据え付けられた大きな部屋に入り、机の周りに22人は座りました。
ホイ大臣は、言いました。

「 今、ほんじゃ島は、実質的にはもんじゃ王国によって統治されている。
ほんじゃ島には、多くの知識人がおる。
それが、みんなもんじゃ王国に連れて行かれて、我が王国に来るのはアホばっかりである。」
「 そうだ、そうだ。」

鼻を垂らした男が納得して言いました。

「 だから、我が国は何時まで経っても進歩しないのだ。」
「 そうだ。そうだ。」

別の男が、よだれをすすりながら納得して言いました。

「 我が王国の繁栄と進歩はこの一戦にかかっておる。
心してかかってくれ。
それでは、まず、実質もんじゃ王国の領地となっているほんじゃ島の何処から攻めれば良いか、意見を出してくれ。」




なんじゃもんじゃ物語 17

「 南だ。」
「 東の方がいい。」
「 バカ、北だ。」
「 誰が何と言っても西だ。」
「 南がいい。」
「 うるさい、北西だ、絶対に北西だ。」
「 だまれ、このくそがき!」
「 やかましい、この屁こき!!」
「 西だ、西だ、馬鹿野郎!!!」

みんな興奮して来ました。
それぞれが何の根拠もなく気分で言い出すので、会議は紛糾して来ました。
ホイ大臣は、大声で叫びました。

「 やめろ!!!」

古池にかわずが飛び込んだ後のような、静寂が訪れました。
ホイ大臣は、厳かに言いました。

「 このままでは、作戦がまとまらない。
古来より、戦の前には、戦勝祈願に神社に行って勝利の行方を占う、という言い伝えが外国にある。
残念ながら、三つの島には神社が無い。
しかし、占い師は一人おる。
なんじゃ山の裏に住む占い師のシミコだ。
素性ははっきりとはしないが、なんでも外国の大昔の有名な占い師のヒミコの子孫であると言っているらしい。
なんじゃ島民の何人かは、みてもらって見事解決したともいわれている。
シミコをここに呼んで、神の意見を聞こうではないか。」
「 おお、そうだ、そうだ、それがいい。」
「 神様が、言うなら絶対だ。」
「 そうしよう、そうしよう。」
「 おい、召使、ちょっと呼んでこい。
今度、遅れたらクビだぞ。」
「 はい、ちょっとお待ちを!」

召使は、シミコの所へ飛んで行きました。
ホイ大臣は、言いました。

「 召使が帰って来るまで、休憩!!」

時は、どんどん過ぎて行きました。
ホイ大臣は、怒りながら言いました。

「 くそ、あいつ、またサボっとるな!
もう、日が暮れかかっているぞ。
しかたがない、みんなでシミコの所へ行ってみよう。」

ホイ大臣と21人の兵隊たちは、王宮の苔むした裏門を後に、なんじゃ山の道無き道をかき分けて歩いて行きました。




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