日々の恐怖 8月27日 識別(1)
数年前の事、俺はとある企業でとある研究チームの一員だった。
と言っても、白衣を着て薬品を扱うような研究職じゃない。
俺達がやってたのは、カメラの顔認識システムとその応用の研究だ。
1台のメインコンピュータにアプリケーションを入れてそこに各地の防犯カメラの映像を送ると、顔を認識して『ID:0001はX→Y→Zを通った』ってログを勝手にどんどん作成してくれる。
ただ、そんなのは当時でも結構ありふれてたから、そのベースとなる顔認識アプリケーションにじゃんじゃん機能を加えていくことになった。
数撃ちゃ当たるってヤツだな。
最初に取り組んだのは、年齢推定の実装だった。
聞いたことあるんじゃないかな。
メカニズムとしては天気予報と同じで、予め顔と年齢をセットで数千通り読み込ませておいて、カメラが顔を認識したらその正解リストを基に予想値をはじき出すって感じだ。
シンプルな方法の割には精度が高くて、試験段階でも4割くらいはピッタリ当てて、後は誤差プラマイ8歳程度だった。
結構面白かった。
でもまあ、年齢推定なんてのも色んなとこが挑戦してて、もっと独特なモノを実装せねば、と奮闘していた。
幸い俺達の手元には大量の顔写真&個人情報サンプルがあったので、色々と試すことが出来た。
名前、学歴、出身地などなど。
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