日々の恐怖 10月13日 曰く付き物件の日常(5)
(7)入居してもうじき2年
視線を感じるのやシャワーの際の気配くらいは気のせいしてきたが、終電で帰って、寝ていると明け方4時にドアチャイムを鳴らされて起きた。
不審がって覗いてみると、真っ暗で何も見えない。
ドアを開けても誰もいない。
それより足音やドアの開閉音もなかった。
色々あったので、曰く付きほど酷くないにしてもと友人からのすすめで、初詣のついでに天然岩塩の塊やパワーストーンとやらを買っておいてみた。
お守りも見かけたら買ってつけるようにしているが、笑ってしまうほどよく無くす。
朝、駅前の線路沿いの脇道を走っている時に、踏切の前でお守りの紐が音を立てて切れた。
買った大きめのアメジストが一週間でまっぷたつになっていたのは笑った。
近所の踏切を夜中通ると、引っ張られたりつまづいたりする気がする。
近隣住民も避けているようだ。
買い物帰りにビニール袋が裂けて中身が飛び出すことも何度かあり、それ以来はエコバックにしたが、何となくタイミングの悪さを感じて、踏切を避けて遠回りして帰るように帰り道を変えた。
(8)入居して2年少し
友人が遊びに来て、徹夜でゲームしていると、
” ドンドン・・・、ゴンゴン・・・。”
とドラムか洗濯機のような音がする。
時刻は深夜2時過ぎ。
夜だから音は小さくしていたが、ゲームしている自分たちより大きな音だ。
『 こんなうるさいのよく平気だな~。
何の音だ?
洗濯機?
引っ越し?』
「 いや、うるさいなって思ったこと無いよ、深夜帰ってきても。
たまたま、今日はうるさいみたいだけど・・・・。」
『 ふ~ん・・・・。
コレ、毎日だったら大変だな。
やっぱ都会は住みにくそうだ。』
「 だね。
できれば早く引っ越したい。
まぁ耐えられないわけでもないし、夜洗濯は俺も申し訳ないと思いながらたまにするし・・・。
深夜じゃないけど。」
音は1時間近く続いたが、たまにはそういうこともある、と済ませていた。
その頃から、正直、家にはいたくなくて休日は外にいることが多かった。
疲れが取れなくて仕事で大変なことも多かったが、家にいる時のような不安感はなかった。
心底、早く引っ越したいと思っていた。
しかし、色々問題もあって金銭的に余裕がなかった。
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