731部隊についてのまとまった本を読んだのは実はこれがはじめてでした。
前半は「豪放果断で宣伝上手な実行力のある軍医」と言われた石井四郎が、「(軍医の最高位である中将より上の)大将にならねばならん」と防疫給水の分野に目をつけ、そこからから細菌戦のアイデアで陸軍を説得し「日本ではできないこと」をやるために満州に巨費を投じて巨大(丸ビル14個半分の大きさ)な実験・研究施設をつくりあげるまでを描いています。
そして後半は、戦後石井が戦犯の訴追を免れるために隊員の面倒をみながら口裏合わせをするとともに極秘に持ち帰った研究データの提供を条件にGHQと駆け引きをする様子や、細菌戦のデータを他国に公開せずに密かに独占しようとする情報局と極東軍事裁判にかけようとする検察官とのGHQの中での騙しあいを、新たに発見した石井の日記や公開された米軍の文書を元に描き出しています。
そこからうかがえるのは、石井は細菌兵器や人体実験に魅せられたマッド・サイエンティストではなく、731部隊は石井にとっては出世の階段を上る手段だったのではないか、ということです。
それはGHQに集まったアメリカ人も同じで、マッカーサーにとっての占領軍総司令官という地位が文民統制のくびきを遠く逃れて自由になるための理想の居場所であり、極東軍事裁判は法律家にとっては正義の実現の場所である一方で、情報部の将校にとっては情報の独占を妨げる場に過ぎない、と各人各様の思いが交錯しています。
邪悪な(または不公正な)出来事は、個人の「本質的な悪性」を原因とするのではなく、目的実現のために手段の悪い面を無視することの積み重ねから起るのだな、と改めて感じさせられます。
戦時中や占領時代に起きた事を「異常時における異常者のおこなった異常な行為」として片付けるのではなく、私たち誰もが陥る可能性がある出来事としてとらえる必要があるのではないでしょうか。
その意味では731部隊も、ライブドアやヒューザーや東横インも同じ所に根っこがあるのかもしれません。
しかし今日でも雑誌やノウハウ本などで「単に会社に使われるのでなく、仕事を通じての自己実現をしろ」などと言われ、そのための転職や「起業」や「キャリアアップ」(って何を意味するのか良く分からないのですが)などが盛んに取り上げられています。
日本の社会は、自分自身の社会的責任を自覚せずに欲求のおもむくままの自己実現を貫徹することの悪性について、またもや無自覚になりつつあるのかもしれません。
前半は「豪放果断で宣伝上手な実行力のある軍医」と言われた石井四郎が、「(軍医の最高位である中将より上の)大将にならねばならん」と防疫給水の分野に目をつけ、そこからから細菌戦のアイデアで陸軍を説得し「日本ではできないこと」をやるために満州に巨費を投じて巨大(丸ビル14個半分の大きさ)な実験・研究施設をつくりあげるまでを描いています。
そして後半は、戦後石井が戦犯の訴追を免れるために隊員の面倒をみながら口裏合わせをするとともに極秘に持ち帰った研究データの提供を条件にGHQと駆け引きをする様子や、細菌戦のデータを他国に公開せずに密かに独占しようとする情報局と極東軍事裁判にかけようとする検察官とのGHQの中での騙しあいを、新たに発見した石井の日記や公開された米軍の文書を元に描き出しています。
そこからうかがえるのは、石井は細菌兵器や人体実験に魅せられたマッド・サイエンティストではなく、731部隊は石井にとっては出世の階段を上る手段だったのではないか、ということです。
それはGHQに集まったアメリカ人も同じで、マッカーサーにとっての占領軍総司令官という地位が文民統制のくびきを遠く逃れて自由になるための理想の居場所であり、極東軍事裁判は法律家にとっては正義の実現の場所である一方で、情報部の将校にとっては情報の独占を妨げる場に過ぎない、と各人各様の思いが交錯しています。
邪悪な(または不公正な)出来事は、個人の「本質的な悪性」を原因とするのではなく、目的実現のために手段の悪い面を無視することの積み重ねから起るのだな、と改めて感じさせられます。
戦時中や占領時代に起きた事を「異常時における異常者のおこなった異常な行為」として片付けるのではなく、私たち誰もが陥る可能性がある出来事としてとらえる必要があるのではないでしょうか。
その意味では731部隊も、ライブドアやヒューザーや東横インも同じ所に根っこがあるのかもしれません。
しかし今日でも雑誌やノウハウ本などで「単に会社に使われるのでなく、仕事を通じての自己実現をしろ」などと言われ、そのための転職や「起業」や「キャリアアップ」(って何を意味するのか良く分からないのですが)などが盛んに取り上げられています。
日本の社会は、自分自身の社会的責任を自覚せずに欲求のおもむくままの自己実現を貫徹することの悪性について、またもや無自覚になりつつあるのかもしれません。
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