一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

住友信託の目論見についての邪推(UFJvs住友信託)

2006-02-15 | 法律・裁判・弁護士
UFJvs住友信託の損害賠償請求事件の一審判決については昨日の記事でちょいとふれたのですが、正確な理解のためには専門家のブログをご覧いただくとして、私としてはtoshiさんろじゃあさんのところで一瞬盛り上がった「法律事務所(弁護士)のビジネス・モデルのありかた」的な切り口から野次馬的な感想を。


法律的な争点としてはすごくざっくり言えば、住信側が履行利益(合意書どおりに経営統合が実現された場合に得られたであろう利益)の損害賠償(2000億は下らない!)を主張したのですが、これは認められず、また、信頼利益(契約の成立を期待して交渉をすすめたのにドタキャンされて無に帰してしまった費用など)については裁判所はこの点についてはUFJの義務違反があるとしながらも、住信側がその賠償および損害額を主張・立証しなかったので、損害賠償を認めなかった、というものです。


今回の訴訟の住信側の弁護団長である升永弁護士は、青色ダイオード事件で中村氏の代理人であるとともに「高額納税者に登場される著名な先生」((C)toshiさん)であり、また何かと記者会見を開いて新聞などに登場することでも有名です(プロフィールはこちら)。
でもそもそも升永弁護士は知財の分野が専門のはずですし、仮処分事件においては住信の代理人にはなっていなかったと思います。

そこで今回の損害賠償請求訴訟に弁護団長として起用した住信の意図についての邪推。


住信としても今回の訴訟は取れて信頼利益(多くて数千万程度?)というのは最初から承知しているはず。
ただ最初からそれだけだと仮処分も却下され、東京三菱との経営統合を止められなかった後の敗戦処理の色あいが濃い訴訟になるので世間体上もみっともない。
なのでここはひとつ升永弁護士の「ケレン」に期待して華々しくぶち上げてもらい、「企業として筋を通した」という形にしたい。
そのために履行利益として2000億という巨額の請求をし、一度は「名誉ある敗北」を甘受する。
そして高裁で信頼利益の主張をして和解で決着をすることで「精一杯やりました」感を出すというあたりを落としどころとして狙っているのではないでしょうか?


PS うーん、言い訳になってしまうのですが、当初この倍くらいの文章を自主検閲した結果「目黒のサンマ」の殿中で出されたサンマのような記事になってしまいました。反省。
コメント
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