一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「象徴的人事」

2007-05-18 | まつりごと

成田空港社長 官邸が元次官の再任拒否 民間起用を要請
(2007年5月17日(木)03:07 朝日新聞)

6月下旬に任期満了を迎える成田国際空港会社(NAA)の社長人事をめぐり、首相官邸が元運輸事務次官の黒野匡彦社長の再任案を拒否し、民間出身者からの起用を国土交通省に求めていることがわかった。安倍政権が掲げるアジア・ゲートウェイ構想に慎重姿勢を見せていると判断していることに加え、民間出身者を起用することで、政府が進める公務員制度改革の象徴的な人事とする狙いもあるようだ。  

政府関係者によると、国交省が黒野氏再任案を打診してきた際、官邸はNAAと同様に完全民営化の方向性が決まっている関西、中部両空港会社のトップがすでに民間人であることなどを理由に認めなかったという。  

NAAの社長人事は閣議了解事項。官邸では「08年度以降に株式上場しようとしている成田のトップが経営を知らない人でいいのか」(首相周辺)との声があがる。

この前書いたように、官房長官と3人の官房副長官で構成される局長級以上の官僚の人事を承認する人事検討会議では、塩崎官房長官は事あるごとに「女性か民間人を登用」と言っているそうです。

空港経営というのにどういう資質や経験が必要なのかはわかりませんが、NAAは株式公開の方針を明らかにしているのですから、株式公開で利益を得る株主の日本政府としても、それに必要な人材を社長にするのが最優先なんではないでしょうか。

聞くところによると、政府としては放送局同様空港会社にも外資規制を定めたり、または株を放出した後も重要な国策に従わせるために黄金株を持つということなども検討しているようです。
でも、黄金株発行会社は東京証券取引所の現在の上場基準に抵触しますし、個人的にはそもそも国の離発着割り当てや空港使用料の規制など収益の大半が許認可に立脚している会社を株式公開させていいのか、とも思います。

こういう中で、従来どおりの国土交通省OBが適任かどうかは確かに疑問なのですが、民間人でも金融系の人は公開の引受などでの利害関係があるから難しいでしょうし、中部国際空港のように新たに立ち上げるわけでもないので仕事の仕組みを作る人も必要なく、また、関空のように借金返済の穴埋めのために政府の機嫌を取る必要もないわけですから、あえて「民間人」と決め打ちしなくてもよかったように思います。
東証とのネゴが上手とか、許認可において政府との関係を円滑に進めるという意味では役人OBという選択肢をあえて捨て選択肢を狭める必要もないように思います。

なにしろ国の財政赤字の穴埋めのために株式市場をだまくらかして株を売り抜けることが至上命題なのですから、「女性や民間人の登用」などというお題目を優先させないでほしいですね。
ま、「象徴的な人事」で対応できる程度の役職ってことでしょうか(なら役員を減らした方がいいのでは?)


最近この手の企業関係の話も官邸や自民党周辺からリークされるので、マスコミの中も自然と政治部の力が増してきているそうです。その影響もあってか経済部は業績予想の決算好評前の憶測報道に血道をあげる結果になっているのではという話を聞いたことがあります。

これも政治部ネタのひとつでしょうが、ちょうど「民間人登用」といういまやちょっと古びたフレーズが「天下り根絶」という最近のネタと共鳴したというまとめかたをしているんで、議論の論点がずれちゃっているように感じます。
釣られたのが朝日新聞、というのも・・・


PS
「アジアゲートウエイ構想」で検索してみるとアジアゲートウエイ戦略会議というのがヒットしました。
いやほんと、安倍内閣は「諮問会議」とか「戦略会議」が多いですね。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/
を見ると、政府の「何とか会議」の一覧があります(・・・/singi/というurlは、昔審議会の一覧だったページが流用されて大きくなったのでしょうかね)。

コメント
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