一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『新版・現代ヤクザのウラ知識』

2007-05-25 | 乱読日記

『新版・現代ヤクザのウラ知識』

原作が1992年、文庫版が2006年で、文庫版に伴い若干のupdateはしたものの、基本は当時の原作のままです。

その意味では、新興市場を食い物にしている最近の経済ヤクザの話などは出ていないのですが、1992年出版(ということは取材は1991年頃、いわばバブルの絶頂の頃)にもかかわらず、すでに暴力団のシノギの構造が変わりつつあったというところが、もともと高利の資金調達の世界の人々ならではの嗅覚なのかな、と妙に感心しました。

「昭和」を回顧する事件なども取り上げられていて、今となっては貴重かもしれません。

中でも面白かったのが野球賭博のハンデ師の話

(ハンデをつけるための情報収集の実例として)
 はなはだしい場合には前夜選手が何を食って今朝の便の状態がどうだったか、借金はいくらあって、女との仲がどうで、といったことまで、ハンデ師はつかんでいる。それというのもOB選手や監督、宿舎のオバサン、選手の父兄、担当記者、スカウトマンなど、ありとあらゆるところにパイプを張りめぐらして情報を収集し、それらを総合的に勘案してハンデを切っている、というのである。
 きわめてバカげた伝説である。野球賭博を実際にやっている暴力団幹部に聞けば、実際は安直にハンデを振っていることがわかるはずである。彼らが実際にやっていることは朝、スポーツ紙何紙かを見て試合のおよその傾向をつかみ、その上に張り客の人気度を勘案するくらいだ。このくらいのハンデを振っておけば、客が両方のチームに散って損が少ないとか、胴元としてひと稼ぎできるだろうとか、その程度のことにすぎない。

 現に野球賭博で大損を出している組もあるし、ある腕がいいとされるハンデ師はろくすっぽ野球を知らない中年女性である。彼女は単に勝負勘が鋭く、組に損をかけないというだけの話である。

需給関係と長期のトレンドの見方の勝負、というのはいい示唆をしていて、結局ファ○ドマネジャーやアナリストなんかも、レポートでは個別銘柄の分析とか書いているけど、結局は・・・というのと、商売としては通じるものがあるんだなぁ、と。

 






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする