一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

空港会社の外資規制についての雑談

2008-02-18 | あきなひ
※追記あり

空港の外資規制などについての友人との話
ワインが美味しくて詳細の部分は定かではないのですが備忘のメモ
(ウラは取っていませんので誤解があればご指摘いただけると助かります)


今回もめている空港の外資規制については議論が錯綜している。
安全保障のために外資規制をすべきだ、という総論での議論はあるものの、各論でどういう風に規制するのかとなるとけっこう厄介な問題がある。

TBS対楽天のときに注目された放送法のように特別法で外資規制をしている分野はあるが、それらについてはWTOで相互参入自由の除外としている。
運輸行政については「航空」(JAL,ANAなどの「エアライン」)については除外しているが「空港」は除外していないので、後付で特別立法をしたときにWTOとの関係で問題が出るのではないか。

国交省は成田空港会社の上場において外資規制のために黄金株(または何らかの種類株)の上場も検討している(このへんは昔のエントリでちょっとふれています)ようで、このへんは企業価値研究会などの提言が追い風になっているが実現は未確定。
もっとも実際問題として種類株の上場によりあまり露骨な「裏口外資規制」がされるとそれはそれで日本市場全体が敬遠されるという副作用のほうが大きいのではないかという問題はある。

そもそも空港という許認可に依存して成立している企業を上場させる意味って何なのだろうか、とか羽田空港を「外資に買われちゃって大変」とか言う割りに羽田での国際線増便などをしている航空行政もよくわからん。
(またたとえば空港会社が言うことを聞かなくなったら横田基地を払い下げてそっちに便を集中するなどということもできるわけで、そうなったときの大株主としての国の利益相反orインサイダー的な立場ってどうなんだろう・・・)

また、成田空港会社を上場したときの上場益はこの状況だと特定財源にはしにくいので、だとすると国交省が上場を進めるインセンティブはないのではないか(財務省からのノルマでこれが達成できないと予算編成でいじめられるとか?)。


外資規制に話を戻すと、包括的外資規制には外為法による事前許可制度がある。
日本空港ビルディング(=羽田空港会社)の豪ファンド、マコーリーの取得についても現在そちらのほうで審査中らしい。
(問題があるならそれで拒絶すればいいじゃないかとも思うのですが。)
(追記参照)
また、現在もめているのがJ-Power(電源開発)へのチルドレンズなんとかファンドの問題が、今経産省の審査中になっている。
こちらは市場開放・外資導入を目指す経産省は許可するのではないかという噂がある。

※ でも「デイトレーダーはばか」などという経産省事務次官の発言を聞くとホントに市場を開放しようとしているのかは疑問w
(まあ、タニマチである財界向けのリップサービスが過ぎたということか)
ちなみに当日の議事録http://www.meti.go.jp/topic/data/80208aj.pdfでは「つまり、コーポレートガバナンスとの関係でも、『会社は株主のものだ』というよりは、『株主も含めた、従業員、取引先、消費者などのステークホルダーのもの』という方が実態ではないでしょうか。」
と言っているので、「デイトレーダーはばか」と言った返す刀で「『会社は自分のもの』と考えている経営者がいたらそいつはド阿呆」などと言っていればバランスが取れていたんだけど・・・

話を戻すと、電気事業法にも外資規制がないからこういう問題が起きているわけだけど、一方で電気事業法には電力の安定供給義務などが定められていて、不当に価格を吊り上げようとすれば政府のチェックがかかる、また原子力発電所を保有していることから、株式を北○鮮に転売されたりして核技術の流出が心配されるとするなら、それは別の原子力関連法規とか武器輸出規制などで対応できるから今までこういうことになっていたのではないだろうか。
空港会社についても個別業法や許認可でコントロールできるのであれば、あえて入り口で外資規制をかけなくてもいいのではないか(放送法は「言論の自由」などと絡んでくるので入り口で規制をしている、という整理か)。


そうはいっても予想外のことは起きうるので心配、ということであれば、アメリカの石油会社ユノカル(この会社はよほど買収の遡上に上がりやすいようですねw)をペトロチャイナが買収しようとしたときに米国政府が差し止めたような外為法規制を事後でもできるようなメカニズム(これはWTO上はいいんだろうか?)を入れるということで議論したほうがいいのではないか。
でも、そういう「伝家の宝刀」を作ると日本政府は抜くのをためらって結局竹光になってしまうことも多いんだよな・・・


などと、こちらも結論のない議論になってしまいました。
(あの美味しかったワイン、何ていったっけ・・・)


<追記>
「ある経営コンサルタント」さんのご指摘(ありがとうございます!)で外為法についてレビューしてみました。
ご紹介いただいた
http://www.boj.or.jp/type/exp/tame/faq/data/t_naito.pdf
によると法規制の内容は

対内直接投資等のうち、事前届出の対象となるのは、届出業種、すなわち「 別表第一および別表第二に掲載されている業種に該当する業種」または「別表第三に掲載されている業種(別表第一に掲載されている業種を除く)に該当しない業種(別表第一および別表第二に掲載されている業種を除く)」を営む本邦企業に対する投資(注)の場合です(したがって、仮に別表第一、別表第二および別表第三のいずれにも掲載されていない業種に対して対内直接投資が行われる場合には、事前届出が必要になります)。事前届出は、取引または行為を行う日前3か月以内に行う必要があります。
一方、事後報告の対象となるのは、事後報告業種、すなわち「別表第三に掲載されている業種(別表第一に掲載されている業種を除く)に該当する業種」を営む本邦企業に対する投資(注)の場合です。事後報告は、取引または行為を行った日から起算して15 日以内に行う必要があります。

とあり、別表第二に「発電所」とあるのでJ-Powerは事前届出の対象になるのに対し、「空港」事前届出の対象になっていないようです。(「航空業」や「航空機使用業」さらにご丁寧に「鉄道施設提供業」はあるのですが「空港施設提供業」はなぜかありません)

なので、日本空港施設(=羽田空港会社)の買収は後手に回ってしまったということですね。

コメント (2)
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