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活断層を房総沖で確認

2012-03-27 | 学問

 広島大・名古屋大・海洋研究開発機構などの研究グループが、「房総沖に未知の長大な二つの活断層が存在する」との調査結果をまとめた。調査結果は3月29日の日本地理学会で発表される。
 調査結果によると、この活断層は、房総半島南端から南東に百数十キロ以上離れた太平洋の海底で、少なくとも延長160km(西側活断層)と300km以上(東側活断層)の二つである。両断層は南北にほぼ並走している。活断層位置は、海上保安庁作製の海底地形図などを使い、地形を詳細に分析し、地震で形成される崖や地形の盛り上がりから推定した。地震でできた崖の高さは東側活断層が約2000m、西側活断層は3000m超で「何れ大地震を幾度も発生してきた可能性が高い」との事。
 グループの渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)によると、二つの活断層の位置は二つ海洋プレート(フィリピン海プレートとその下の太平洋プレート)と陸のプレート(北アメリカプレート)の境界が接する三重会合点付近とそのやや陸側の海底。

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 断層の北側に1677年の延宝房総沖地震(推定M8.0)、1953年の房総沖地震(M7.4)の震源域がある。
 地震は別々の活断層が動いたと思われる。両活断層の歴史的活動状況は分かっていない。


 活断層は、海溝沿いなどで起きる「プレート境界型地震」との関連は低いとみられてきた。グループは昨年、東日本大震災で動いたとみられる約500kmの海底活断層を日本海溝沿いで確認している。
 一度にそれぞれの断層全体が動けば、何れもマグニチュード(M)=8~9の大地震を起こす可能性があると言う。グループの渡辺満久教授は、「ノーマークで未調査の活断層。強い揺れや津波が関東南部や東海地方に及ぶ可能性がある。早急に詳しく調査すべきだ。」としている。
 ★延宝房総沖地震(推定M8.0)
 1677年11月4日(延宝5年10月9日)に発生した地震。延宝地震とも呼ばれる。
 揺れは顕著でなかった。千葉県・茨城県・福島県の沿岸部に大津波が襲来し、被害は流潰家1893軒、死者数569人とされる。
 ★房総沖地震 (M7.4)
 1953年(昭和28年)11月26日に発生した地震。この地震で初めて大津波警報が発令された。
 ★活断層(かつだんそう)
 活断層とは、第四紀(258万年前~現在まで)に繰り返し活動し、今後とも活動が推定される断層である。
 日本には陸域において約2000箇所の活断層が存在すると言われる。文部科学省では、平成7年に断層活動が社会的・経済的に大きな影響があると考えられる98箇所の活断層調査を行うことにした。平成15年度では全ての箇所が着手済みとなり、平成17年3月に地震発生確率が発表されている。平成17年8月、新たに主要活断層として、12箇所を追加した。これは、その後の調査や調査技術の進展などから、予測より延長の長い活断層の存在が判ったためである。
 因みに、海上保安庁では20領域の沿岸域海底活断層調査を実施している。
 ★主要活断層
 地震動と断層延長(断層面積)は比例的である。これより延長・ズレを指標としている。
 延長:20km以上、ズレ:10cm/1000年以上