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割れても直る「自己修復ガラス」、き裂が完治する「自己治癒セラミックス」

2017-12-29 | 科学・技術
 割れても直る「自己修復ガラス」
 東京大学の相田卓三教授、柳沢佑氏らの研究グループが、世界初の自己修復ガラスを開発した(12月18日発表)。
 自己修復ガラスは、ポリエーテルチオ尿素と呼ばれる高分子材料からなる。この高分子物質は生体分子の表面に強く接着する「分子糊」と名付けた高分子物質を合成するための中間体として設計されたが、研究グループはその過程で、固くさらさらした手触の表面をしていながら、破断面を互いに押し付けているとそれらが融合する特別な性質を示すことに気づいた。温度・圧縮応力を精密に制御できる装置を用いて修復能を評価したところ、室温における数時間の圧着で機械的強度が破損前と同等の値にまで回復した。
 窓ガラスは損傷や破壊が不可逆的で、加熱溶融しないかぎり再利用ができないため、割れると廃棄される。本ガラスは、室温で破断面を押し付けておくと修復・再利用が可能になる初めての素材となる。

 き裂が完治する「自己治癒セラミックス」
 物質材料研究機構と横浜国立大学の研究グループは、自己治癒セラミックスが、骨の治癒と同じく炎症・修復・改変期という3つの過程で治癒することを発見した。さらに骨の治癒の仕組みをヒントに、セラミックスの治癒を促進する物質を結晶の境目に配置することで、航空機エンジンが作動する1000℃において、最速1分で、き裂を完治できる自己治癒セラミックスの開発に成功した(12月21日発表)。
 本研究グループは、自己治癒セラミックスにき裂が入ると、き裂から侵入した酸素と、セラミックスに含まれる炭化ケイ素が反応して二酸化ケイ素が合成され(炎症)、セラミックスの母体であるアルミナと二酸化ケイ素が反応してき裂を充填し(修復)、結晶化して強度が回復する(改変)という三段階で治癒が進むことを明らかにした。さらに骨の治癒を促進する体液ネットワークをヒントに、セラミックスの治癒を活性化する酸化マンガンを、アルミナの粒界に極微量配置することで、従来材では1000℃で1000時間かかっていたき裂の治癒時間を、最速1分程度で完治させることに成功した。

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