個人的な感想から始める。
外国に行って撮ってきた写真で構成した写真展は数多い。
でも、半分は嫌いだ。
たいてい、土地の青年や子どもがこちらに人なつっこい笑顔をむけている1枚がある。
行った先が発展途上国なら
「貧しいけれど子どもたちの笑顔は輝いていた。モノに囲まれた豊かな日本。でもどちらが幸せなのだろう」
などと、クリシェそのものの文章がついたりする。
要するに、旅で行っているくせ . . . 本文を読む
この美術館は、日本を代表する企業グループ「三井」の総本山である「三井本館」の中にオープンした。
戦後に解体される財閥が、関東大震災のあとで総力を挙げて建設したビルだけに、建物だけでも見る価値がある。重厚な窓や扉などは、黄金期ハリウッド映画に登場する摩天楼の古典主義的なオフィスをほうふつとさせる。
展覧会の前半は、三井家が所有していた茶道具やたばこいれ、蒔絵印籠などが展示室に置かれている。 . . . 本文を読む
最終日にギャラリーにかけこんで、見ることができた。見逃さなくて、ほんとうに良かったと思った。
ギャラリーや美術館で見る絵は、ほとんどが完成したものだが、時に、映画などで、画家が筆を動かしている制作途上のものを見ることがある。しかし、その際、画家の存在を消して、生成しつつある絵そのものを目にしたいと思うことはないだろうか。
石田さんの映像作品は、まさにそういうものだった。室内にカメラを固 . . . 本文を読む