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■泉修次展 Pile up (2019年8月29日~9月8日、札幌)

2019年09月12日 09時11分00秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 札幌の泉修次さんの作風は幅広い。
 糸をぴんと張った緊張感あふれる立体造形、さいとうギャラリーでの企画展でおなじみの「おみくじアート」、世相を皮肉った小品など多彩だ。
 今回は初めてコンクリート(モルタル)を素材にしたインスタレーションに取り組んだ。


 ことし4月におなじ会場で企画された「石彫刻の8人展」にインスパイアされた部分があるそうです。
 また、設計図の通りに作る従来の作風(緻密に設計しないとバランスを失う)ではない、自由な作品に取り組みたいというという思いもあったよう。
 しばらくの間、直径10センチほどの筒にコンクリートを流し込むという作業に没頭していたとか。
 高さもばらばら(10~80センチほど)の筒を、丸く切り抜いたウレタンのシートの上に置き、並べ方は会期中に少し変えたという。

 ところどころ、さびた空き缶が載っかっているが、これは保管していて忘れていたものを、制作途中に偶然見つけたものとのこと。
「ちょうどいい具合にさびてたんです」


 ところどころ、ドングリをそのまま固めたものなどがちりばめられていて、良いアクセントになっている。


 コンクリートの電柱や電信柱は、空爆や津波に襲われたあとの、建物が消えてしまったのちにも都市に残っているものとして、作者の印象に刻まれているという。
 たしかにアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」では折れた電柱や信号機が被害を伝える道具として効果的に用いられていたし、先の大戦で焼け野原になった都市の写真でも電柱はけっこう残っていたりした。

 筆者が思い出すのは、真っ二つに折れて中からおびただしい針金を露出させていた、東日本大震災被災地の電柱である。
 ちょっと強引にまとめてしまえば、文明のもろさと強さの象徴なのかもしれない。

「まあ、作ってる最中は、そんなことは考えてないんですけどね」
と泉さん。
 素材としては非常に安くホームセンターに売っているらしく、今後も使うだろうとのことだ。


2019年8月29日(木)~9月8日(日)正午~午後6時、火曜休み
Gallery Retara(札幌市中央区北1西28 MOMA Place 3階)


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