(承前)
いま述べた事情について、鋭く現状を批判しているのが、「日本人は世界一間抜けな美術品コレクター」です。
この本の著者は、いわゆる現代アートのギャラリストではなく、銀座の画廊主です。銀座が、古きよき画廊街から、海外のブランドに占領されていく近年の様子を、苦々しい表情で見ていることが、文中の端々からうかがえます。
個展のオープニングに現れる得体の知れない人たち-といった、面白おかしいけ . . . 本文を読む
(承前)
さて、この3冊のなかで、唯一理論的な部分に切り込んだのが「現代アートバブル」です。
ご本人は「現代アートは、専門的な知識を必要とする旧来の絵画より、よほど易しい」という意味のことを書いていますが、やはり「9・11以後のアート」などと述べられると、難しいなあというのが正直なところです。
ただ、この分野について書かれている日本語の本は、管見の限りでは松井みどりさんの「アート以後のアー . . . 本文を読む
昨年暮れ以来、ひさしぶりにデザインを変えました。
じつは、今朝できあいのテンプレートを利用して一度変えたのですが、どうも文字が小さくて。
今回、さらに文字を大きくして、行間も広くしました。
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北海道美術ネットのうち、最も更新頻度の高かった「あーとだいありー」「つれづれ日録」を、「北海道美術ネット別館」というタイトルのブログに移行したのが2005年10月22日。
ちょうど3年がたちました。
10月23日付けまでのエントリは計2559本。
われながら、よく書いたもんだと思います。
「2周年」のときには、1日のアクセスポイント数が400iPぐらいと書いていましたが、この3カ月 . . . 本文を読む
道展会員など7人による具象の油絵の展覧会。10-30号ぐらいの写実的な絵が大半ですが、あらためて考えてみると、こういう展覧会は意外と少ないような気がします。正確には、この大きさの具象の油絵がならんでいる展覧会は多いのですが、ほとんどすべて、アマチュアのグループないし教室展であり、この水準となるとほとんどないのでは-と思います。
メンバーは大井愛子(札幌)、河瀬陽子(芦別)、小林義晃(札幌)、奈 . . . 本文を読む
「練上(ねりあげ)」という技法を駆使して、精緻な文様の陶器を作り出す、石狩管内新篠津村の尾形さん。大同ギャラリーでの個展は毎年10月です。
その作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されているそうです。日本工芸会正会員であり、東日本伝統工芸展にも入賞を重ねています。
練上は、異なる種類の土を使って成形する技法ですが、いつ見ても、その文様の細かさには驚かざるを得ません。さらに尾 . . . 本文を読む
會田千夏(絵画)、川上加奈(彫刻)、武山友子(写真)、藤沢レオ(彫刻)の4氏による展覧会。
苫小牧在住で、最近は札幌芸術の森美術館の前庭でインスタレーションを発表するなど、活躍の目立つ藤沢さんが中心となって、茶廊法邑(さろうほうむら)と、このほどオープンした品品(しなじな)法邑の2カ所で、同時にグループ展をひらいています。
茶廊のほうがアート系の展示なのに対し、品品は、工芸・クラフトの販売 . . . 本文を読む
島田晶夫(木工)、高瀬季里子(皮革)、藤沢レオ(金工)、真境名イクリ(漆芸)、山田祥子(陶芸)の各氏によるグループ展。
姉妹施設である「茶廊法邑(さろうほうむら)」の展覧会と同様、藤沢さんが作家に声をかけて実現したものですが、茶廊のほうと異なり、日常使うクラフト、工芸品を販売することに主眼が置かれた展覧会になっているようです。
「札幌の美術」展にも登 . . . 本文を読む
札幌の若手ジュエリー作家クリスノゾミさんの個展です。
メーンはシルバーで、ネックレスやピアス、指輪、チョーカーなどがならんでいます。
新作の指輪。
曲線をいかしたデザインです。
手前の切手のようなデザインの作品は、直線と、生命の感覚にあふれた曲線とを巧みにくみ合わせています。
. . . 本文を読む
夕べはつかれて寝てしまったので、23日の行動をここであらためてふりかえってみる。
長いので3つのエントリにわけた、
まず、豊平のライラック病院へ。
なんで病院? と思った方もおられるだろうが、ここの入り口やロビーでは、札幌の抽象画家日野間尋子さんと、日野間さんが絵や工作を教えている施設の人たちによる作品を、土曜まで展示しているのだ。
旧豊平駅の近くでバスをおりる。
ここには、196 . . . 本文を読む
(承前)
「本町2の1」(このバス停のほうが、環状通東駅よりも少しだけ近い)から中央バス「本町線」に乗って「北18東1」降車。
法邑から北区のギャラリーへ行くとき、いちいち札幌駅まで戻るのはシャクなので、たまにこの路線に乗るが、いつもすいている。
「ふうせんかずら」でクリスノゾミさんのシルバージュエリー個展。
クラフトの発表場所やカフェとして親しまれていた「ふうせんかずら」だが、1 . . . 本文を読む
(承前)
Insomnia(インソムニア)からいちばん近い駅はいうまでもなく桑園だが、地図を見ると、意外と東西線の二十四軒も近そうだ。
あるいてみることにした。
北10条と北11条の間の道。
倉庫の裏側とか、家とかがつづく。
人通りも車の通行もすくないのに、そば屋もある。
おどろいたのは、条丁目地区だというのに、畑がまだあったことだ。
二十四軒駅の6番出入り口までは15分ほ . . . 本文を読む
なかなか充実している今週の時計台ギャラリー。
A室は、札幌の新道展会員、細木博子さんの、6年ぶりの個展です。
20点ほどの作品は、すべて「時の流れのなかで」と題されています。
左は近作にはめずらしく馬が登場しています。
しばらく放置していた抽象画を、90度向きを変えたら、線が見えてきて、そこから絵を発展させていくと馬になったそうです。
「馬がないと細 . . . 本文を読む
時計台ギャラリーのB室は帯広の版画家による2人展ですが、筆者が訪れたときには会場は無人でした。
中谷さんは毎年この時期、時計台ギャラリーで個展を開いています。帯広は札幌から遠く、毎年新作をそろえて個展を開いていることには頭が下がる思いです。
2人展というのは、めずらしいです。
中谷さんは、道展版画部の会員で、ほかにもモダンアート展、平原社(十勝の美術団体)などに加盟しています。
版画 . . . 本文を読む
阿部さんはグループ展などでさかんに発表している若手。武田さんはことし会友賞を得た全道展会友で、春陽会にも入選を重ねているベテラン。
「孫と祖母ほども年の違う」ふたりが一緒に発表することになったのは、以前阿部さんが、札幌芸術の森の版画工房に勤めていたとき、武田さんが作業のために通ってきていたので知り合ったそうです。2人展にさそったのは武田さんの由。
阿部さんは銅版画。抽象が多いのですが、今回 . . . 本文を読む